【介護関連の変更点】2025(令和7)年改正 育児・介護休業法をわかりやすく解説

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育児や介護を行う人が仕事と家庭をうまく両立できるようにサポートするための法律「育児・介護休業法」が、2025年(令和7年)に改正されます。
これまでの過去の改正と比べても大きなもので、すべての企業が対応しなければいけない内容です。
【この記事でわかること】
- 育児・介護休業法の「介護」にかかわる改正ポイント
- 改正にともない、担当者は具体的に何をしなくてはいけないのか
育児関連の改正は、以下の記事で解説します。
関連記事:【育児関連の変更点】2025(令和7)年改正 育児・介護休業法をわかりやすく確認
目次
そもそも育児・介護休業法とは
育児・介護休業法は、仕事と育児や介護を両立できるようにするための法律です。育児や介護を理由に仕事を辞めなくてもよい環境を整えることを目的に、1992年(平成4年)に施行されました。
法律には育児休業、子の看護休暇、介護休業、介護休暇といった制度が定められています。
育児休業 | 1歳未満の子を育てる労働者が取得できる。育児休業中は、育児休業給付金が支給される。 |
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産後パパ育休(出生時育児休業) | 産後8週間以内に4週間(28日)を限度として2回に分けて取得できる。育児休業の一部で、1歳までの育児休業とは別に取得できる。 |
子の看護等休暇 | 小学校3年生修了までの子を育てる労働者が取得できる。年間で子ども1人につき5日、2人以上の場合は最大10日まで取得でき、年次有給休暇とは別に付与される。 |
介護休業 | 要介護状態にある家族を持つ労働者が、家族1人につき93日を限度として3回に分けて取得できる。休業期間中、企業に給与の支払い義務はない。 |
介護休暇 | 要介護状態にある家族を持つ労働者が取得できる短期間の休暇。対象家族1人の場合は年間5日、2人以上の場合は年間10日まで取得できる。休暇期間中は原則、無給。 |
2025年(令和7年)育児・介護休業法の改正の目的・特徴
2025年4月、10月に施行される改正は、以下の3点を目的に行われます。

育児関係はより柔軟な働き方ができるような改正が多いことに対して、介護関係は既存の制度に大きな変更はなく、活用を強化するための改正と言えます。
介護関係の「介護離職を防ぐ対策の強化」では、仕事と介護の両立支援制度があるにもかかわらず、活用できないまま仕事を諦めてしまうことを防ぐために、制度の個別周知と意向確認が強化されます。
以下では今回の改正項目を「介護関連」に絞ってお伝えします。
育児関連は以下の記事で解説しています。
関連記事:【育児関連の変更点】2025(令和7)年改正 育児・介護休業法をわかりやすく確認
【介護】2025年(令和7年)育児・介護休業法の改正内容
2025年の育児・介護休業法の改正における「介護休業」「介護休暇」にかかわる具体的な変更点を確認していきます。
- 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
- 介護離職防止のための雇用環境整備
- 介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
- 介護のためのテレワーク導入
※ 1〜7は育児関連の改定です。
これらの改正はすべての企業が対象です。
⑧ 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

施行日 | 2025年(令和7年)4月1日 |
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対応 | 該当する場合 |
就業規則等の見直し | 労使協定を締結している場合は必要 |
労使協定の締結で除外できる労働者から「継続雇用期間6ヶ月未満」が削除され、「週の所定労働日が2日以下」以外の労働者が介護休暇を取得できるようになります。
⑨ 介護離職防止のための雇用環境整備
施行日 | 2025年(令和7年)4月1日 |
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対応 | 義務 |
就業規則等の見直し | ー |
労働者が介護休業や介護両立支援制度等の利用を申し出やすくするために、事業主には以下いずれかの措置が求められるようになります。
- 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
- 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
- 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
- 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知
⑩ 介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
施行日 | 2025年(令和7年)4月1日 |
---|---|
対応 | 義務 |
就業規則等の見直し | ー |
介護の必要がある旨の申し出があった労働者に対して、事業主は以下の事項を個別に周知し、介護休業の取得などの意向を行うことが義務化されます。
- 介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)
- 介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)
- 介護休業給付金に関すること
さらにこれらの事項は労働者から介護の申し出があったときのみならず、以下の介護を必要とする前の段階で情報提供しなければならなくなります。
- 労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間)
- 労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間 のいずれか
⑪ 介護のためのテレワーク導入
施行日 | 2025年(令和7年)4月1日 |
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対応 | 義務 |
就業規則等の見直し | 導入する場合は必要 |
要介護状態の家族を介護する労働者がテレワークを選べるようにすることが、事業主の努力義務とされます。
両立支援等助成金とは

両立支援等助成金とは、労働者の家庭と仕事の両立を支援する取り組みを行ってる企業に対して、国が助成する制度です。
例えば「育休中等業務代替支援コース」では、育児休業や短時間勤務期間中の業務を代わりに行う労働者へ手当を支給したり、代わりの要員を新たに雇用した場合、1人あたり最大で140万円の助成を行っています(2025年3月現在)。
育児・介護休業法について相談できる窓口(岡山)
育児・介護休業法に関する問い合わせは各都道府県の労働局雇用環境・均等部(室)で受け付けています。
岡山労働局 雇用環境・均等室
086-225-2017
受付時間 8時30分~17時15分(土日・祝日・年末年始を除く)
また、育児・介護休業を取得する社員をサポートする企業は、社会保険労務士等の専門家から無料でアドバイスを受けられます(受付時期に制限あり)。
岡山で育児・介護休業について相談するなら、まき社会保険労務士事務所へ
岡山市のまき社会保険労務士事務所では「お客様の悩む時間をゼロにしたい」という思いのもとで、社会保険等届け出・就業規則の作成・給与計算・助成金等の申請を行っています。
「気軽に相談できる身近なパートナー」となるべく、可能な限りサポートさせていただきます。岡山市周辺の方はもちろん、全国オンライン対応しておりますので、ぜひお問い合わせください。
お問い合わせ
参考資料
- 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内(パンフレット)|厚生労働省
- 育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法の2024(令和6)年改正ポイント|育児休業特設サイト|厚生労働省
- 育児・介護休業等に関する規則の規定例(ひな型)|厚生労働省
- 政府広報オンライン
- 改正育児・介護休業法等説明会(岡山労働局)を開催しました!|岡山労働局
2025年(令和7年)育児・介護休業法 改正ポイントまとめ

まき社会保険労務士事務所 代表
社会保険労務士 牧 あや