2026年社会保険料率まとめ。変更点や適用時期、計算方法を基礎から解説

2026年04月13日
2026年度社会保険料率一覧

2026年4月は健康保険や介護保険、雇用保険などの各保険料率が変更されます。また今回は子ども子育て支援金制度も新たに始まり、人事労務担当者には慣れない対応も求められます。

この記事では令和8年度(2026年度)の最新の各種保険料率を始め、前年度からの変更点などをまとめます。

また新年度に入ったタイミングで押さえておきたい、今年度に行われる主要な制度改正についてもお伝えします。

2026年度最新の社会保険料、労働保険料などをまとめて紹介します。

健康保険料(医療保険/協会けんぽ)

出典:令和8年度保険料率のお知らせ | 全国健康保険協会

健康保険(協会けんぽ)の保険料率は、毎年度、3月分(4月納付分)から改定されます。実務上では保険料を「翌月控除」の事業所は4月給与から、「当月控除」の事業所は3月給与から新料率が適用されます。

保険料率は都道府県(協会けんぽの支部)ごとの医療費の水準にもとづいて決定されます。以下から各支部の保険料額表を確認できます。

令和8年度保険料額表|都道府県毎の保険料額表|協会けんぽ

2026年度の全国の健康保険料率の平均は前年度から0.1%引き下げられ9.9%になりました。多くの都道府県では保険料率が引き下げられましたが、神奈川や沖縄のように据え置かれた地域もあります。

支部令和8年度
(2026年3月分から)
令和7年度
(2025年3月分から)
全国平均9.9%
(-0.1)
10.0%
東京9.85%
(-0.06)
9.91%
大阪10.13%
(-0.11)
10.24%
岡山10.05%
(-0.12)
10.17%
神奈川9.92%9.92%
沖縄9.44%9.44%

【健康保険料の基本】

  • 標準報酬月額(50等級) × 保険料率 = 保険料(労使合計)
  • 合計金額を労働者と事業主が折半する

介護保険料(40〜64歳対象)

40歳から64歳までの労働者が負担する介護保険料の料率は、全国一律で毎年度、3月分(4月納付分)から見直されます。2026年度は前年度から0.03%引き上げられ1.62%になりました。

令和8年度
(2026年3月分から)
令和7年度
(2025年3月分から)
1.62%
(+0.03)
1.59%

【介護保険料の基本】

  • 介護保険第2号被保険者(40歳から64歳の労働者)から徴収
  • 標準報酬月額(50等級) × 保険料率 = 保険料(労使合計)
  • 合計金額を労働者と事業主が折半する

【新設】子ども子育て支援金

2026年4月から社会全体で子育て世帯・若年層を支援することを目的に創設された「子ども・子育て支援金」の徴収が始まります。

支援金は社会保険料と一緒に徴収します。翌月控除の事業所は5月給与から、当月控除の事業所は4月給与から徴収します。

健康保険料や介護保険料の料率改定から1ヶ月遅れます。

支援金率は国が一律で示すとされています。2026年度の被用者保険の料率は0.23%で、2028年度まで段階的に上がっていく予定です。

【子ども子育て支援金の基本】

  • すべての世代・すべての医療保険の加入者から医療保険料に上乗せして徴収
  • 標準報酬月額(50等級)× 支援金率 = 支援金額(労使合計)
  • 合計金額を労働者と事業主が折半する
  • 従来からの「子ども・子育て拠出金」とは別制度

関連記事:独身税?子ども・子育て支援金の2026年4月からの負担額や計算、徴収方法

厚生年金保険料

厚生年金保険料は18.3%で固定されています。2026年度も変更はありません。

厚生年金の保険料率は2004年10月から毎年0.354%ずつ引き上げられ、2017年に法律に定められた上限(18.3%)に達したことで以後は固定されています。

参照:国民年金法等の一部を改正する法律|厚生労働省

【厚生年金保険料の基本】

  • 70歳以下の労働者から徴収する
  • 標準報酬月額(50等級) × 18.3% = 保険料(労使合計)
  • 合計金額を労働者と事業主が折半する

雇用保険料

雇用保険料率は雇用情勢や財政状況に応じて、厚生労働省が年度ごとに定めます。

毎年、4月1日以降の最初の締め日により支給される給与から適用されます。3月末締めで4月に支払われる給与は前年度分の雇用保険料率が適用されるため注意が必要です。

2026年度の保険料率は以下のとおり定められました。前年度から労働者負担分、事業主負担分ともに引き下げられています。

【雇用保険料の基本】

  • 1人でも従業員を雇っている事業所の労働者が対象(週20時間以上労働など条件あり)
  • 事業の種類によって料率が異なる(全3種類)
  • 賃金総額 × 労働者の雇用保険料率 = 労働者の保険料
  • 賃金総額 × 事業主の雇用保険料率 = 事業主の保険料

関連記事:【事業主向け】雇用保険のキホン 加入条件、手続きをわかりやすく解説

関連記事:【サクッと理解】労働保険 年度更新の申請手順、計算方法をわかりやすく解説

労災保険料

労災保険料率は、原則として3年に一度見直されます。「仕事中のケガや病気」を補償するもので、「過去3年間にその業界でどれくらい事故が起きたか」といった実績にもとづいて決まります。

直近は2024年4月に改定されており、次回は2027年4月の改定が予定されています。

実務上では労働保険の年度更新(毎年6月1日〜7月10日)のタイミングで最新の料率を確認しましょう。

【労災保険料の基本】

  • 1人でも労働者を雇う企業に加入する義務がある
  • 全額事業主が負担する
  • (労災保険被保険者の)賃金総額 × 労災保険率 = 保険料

関連記事:【初級】労災保険とは?仕組みや適用範囲、給付金の種類を解説

関連記事:【サクッと理解】労働保険 年度更新の申請手順、計算方法をわかりやすく解説


以上の健康保険・介護保険と雇用保険の料率変更は給与計算にも影響があります。

給与計算ソフトを使っている場合でも、ソフトによっては料率が自動更新ではなく手入力するものもあるので、変更のタイミングと料率を間違えないように注意しましょう。

2026年度に行われるその他の主な制度改正

2026年度に行われるその他の主な制度改正も押さえておきましょう。

社会保険加入対象の拡大(26年10月)

働き控えによる労働力不足の解消や、労働者の将来の年金や医療保障を手厚くするために、社会保険の加入対象者が広がります。

具体的にはこれまでの社会保険の加入条件の1つであった「月額賃金88,000円(年収106万円)以上」が撤廃されます。

また2026年4月現在は「従業員51人以上」という対象企業も、2027年10月から段階的に基準が引き下げられていき、2035年10月にはすべての企業の労働者が加入対象になります。

施行時期賃金条件対象企業
2026年4月時点月額賃金88,000円以上
(年収106万円以上)
51人以上
2026年10月撤廃見込み51人以上
2027年10月36人以上
2029年10月21人以上
2032年10月11人以上
2035年10月10人以下(撤廃)

結果、学生以外の週の勤務が20時間以上の労働者が、社会保険の加入対象になります。

撤廃時期については「最低賃金の様子を見ながら3年以内に撤廃」とされていましたが、2026年3月末で全ての都道府県の最低賃金が時給1,016円を超え、週20時間働けば誰でも年収106万円(月額8.8万円)を超えるようになったことから、2026年10月に賃金条件が廃止される見込みです。

関連記事:26年10月、106万円の壁撤廃へ。130万円の壁もわかりやすく解説

社会保険の扶養認定ルールの変更(26年4月)

2026年4月から社会保険の扶養認定の判定基準がこれまでの実績や見込みから「労働契約書(労働条件通知書)の内容」へと変更されます。

これにより契約上の年収が基準内であれば、一時的な残業などで実際の収入が増えてしまっても、原則、扶養にとどまれるようになります。

関連記事:2026年4月「社会保険130万円の壁」緩和へ。扶養認定のルール変更により

在職老齢年金の見直し(26年4月)

2026年4月から在職老齢年金制度が見直され、年金支給停止の基準額が65万円に引き上げられます。結果、働くことで年金が減っていた高齢労働者が、より多く年金を受け取れるようになります。

「本当は働きたいが、年金額が下がるなら仕事量を抑える」という制約が少なくなるため、改めて労働者本人の希望を確認して、雇用契約や勤務時間の見直しを検討しましょう。

関連記事:2026年4月、在職老齢年金の停止基準額が65万円に引き上げでより働きやすく

「治療と就業の両立支援」の努力義務化(26年4月)

2026年4月から改正労働施策総合推進法により、職場における治療と就業の両立支援の取り組みが、事業主の努力義務になります。

がんなどの継続した治療が必要な労働者が仕事を諦めなくても良いように、事業主には以下のような環境整備が求められるようになります。

  • 事業主の方針表明
  • 研修などを通じた意識啓発
  • 相談窓口の明確化・社内の支援体制の整備
  • 社内制度(休暇制度・勤務制度)の整備 など

参照:治療と仕事の両立について|厚生労働省

高年齢者の労働災害防止のための指針(26年4月)

2026年4月から高年齢者の労働災害防止のために必要な事項を定めた指針が適用されます。指針には以下のような事業主が取り組むべき対策が示されています。

  • 体制づくりとリスクの把握(トップの宣言、労使の話し合いの場づくり、リスクの見直し など)
  • 職場環境と働き方の改善(設備の改修、身体の負担軽減、柔軟な働き方の導入 など)
  • 健康・体力の把握と教育(労働者の体力測定、健康診断の結果などを踏まえた個別対応 など)

参照:高年齢者の労働災害防止のための指針(高年齢者の労働災害防止のための指針公示第1号)

こども誰でも通園制度の全国一斉スタート(26年4月)

2026年4月から0歳6か月から満3歳未満の保育所などに通っていない子どもを対象に、月10時間の範囲で、保護者の就労要件を問わず保育所などに通園できる制度が始まります。

産休・育休中や離職中の従業員などに制度が始まることを周知して、スムーズな復職やキャリア形成を支援しましょう。

参照:こども誰でも通園制度 – こども家庭庁

女性活躍推進法の対象拡大(26年4月)

2026年3月までの時限法だった女性活躍推進法が2036年(令和18年)3月末まで10年間、延長されました。

またこの改正によって、これまで従業員数301人以上の企業に義務付けられていた情報開示義務が、101人以上の企業にも適用されるようになります。

企業規模
(従業員数)
2026年4月〜改正前
301人以上・男女間賃金差異
・女性管理職比率
+
※ 2項目以上
男女間賃金差異
+
2項目以上
101人〜300人・男女間賃金差異
・女性管理職比率
+
※ 1項目以上
1項目以上

※従業員数301人以上の企業は以下2つの表から1項目以上ずつ(合計2項目以上)を選択して公表

※従業員数101人〜300人の企業は以下2つの表の14項目から1項目以上を選択して公表

出典:女性活躍推進法特集ページ|厚生労働省

障害者法定雇用率の引き上げ(26年7月)

企業の従業員数に応じて一定割合(法定雇用率)の障害者を雇用することが義務付けられていますが、2026年7月から法定雇用率と対象企業の範囲が拡大されます。

2023年度2024年4月2026年7月
対象事業主の範囲43.5人以上40人以上37.5人以上
法定雇用率2.3%2.5%2.7%

出典:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について|厚生労働省

カスタマーハラスメント防止対策の義務化(26年10月)

顧客や取引先からの不当な言動や要求を指す「カスタマーハラスメント」が増えていることを受け、2026年10月から事業主に対して以下の対策が義務化されます。

  • 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
  • 相談体制の整備
  • 事後の迅速かつ適切な対応
  • 特に悪質なカスハラへの対処の方針を定め、労働者に周知し、対処できる体制の整備
  • そのほか併せて講ずべき措置

関連記事:【事例あり】カスハラ対策が義務化へ。企業がすべき取り組みとは?

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    この記事の執筆者


    まき社会保険労務士事務所 代表

    社会保険労務士 牧 あや