【簡単作成】GビズIDの基本とできること、取得方法

2025年05月08日
GビズID

近年、様々な行政手続きが電子申請に移行しています。業務効率化のためにも、これまで紙で行っていた手続きをオンライン化したい、という企業が増えています。

そんな時に最初に用意したいのが、多くの窓口で利用できる共通のアカウント「GビズID」です。

 【この記事でわかること】

  • GビズIDって何?
  • GビズIDを使ってできる手続き
  • GビズIDの作り方、必要なもの

GビズIDとは

出典:デジタル庁|GビズID(法人・個人事業主向けアカウント)の概要

GビズIDはデジタル庁が発行する法人・個人事業主向けの共通認証システムです。

近年、さまざまな行政手続きがオンライン化に対応しており、業務を大幅に効率化できるようになりました。

以前は行政の電子申請をするとなると、認証サービス会社の「電子証明書」を有料で取得する必要があり、また窓口ごとに複数のIDやパスワードを管理する煩雑さがありました。

無料で取得できるGビズIDなら、1つのIDで複数の行政サービスを利用でき、各種申請や届出ができます。またIDを発行する際に1度だけ、代表者の本人確認を行えば、以降は各種手続きの本人確認書類の提出が不要になります。

GビズIDでできること

GビズIDを使ってできることには、以下のようなことがあります。

GビズIDを使った電子申請の対象は年々拡大しており、今後も広がっていくと予想されます。

社会保険・雇用保険・労働関係の届出、申請

GビズID

出典:トップ | e-Gov電子申請

【手続きの一例】

  • 社会保険の各種手続き
    資格取得届、資格喪失届、算定基礎届、月額変更届、賞与支払届、被扶養者(異動)届、国民年金第3号被保険者関係届 など
  • 労働保険の各種手続き
    概算保険料の申告、年度更新申告、保険関係成立届、育児休業給付金の申請 など
  • 労働基準関係の手続き
    36協定、就業規則(変更)届 など

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※ 2020年4月から資本金1億円を超えるなどの特定の法人は、健康保険、労働保険、雇用保険の一部の手続きの電子申請が必須になっています。

雇用・労働分野の助成金の申請

従業員の雇用や労働にかかわる各種助成金の申請ができます。

【助成金の一例】

  • 雇用調整助成金
  • キャリアアップ助成金
  • 両立支援等助成金 など

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補助金の申請・検索

出典:jGrants ネットで簡単!補助金申請 | jGrants

デジタル庁が運営する補助金の電子申請システム「j Grants(Jグランツ)」で、補助金の検索や応募、採択後の手続きまで完結させられます。

【補助金の一例】

  • IT導入補助金
  • ものづくり補助金
  • 小規模事業者持続化補助金 など

業種ごとの手続き

GビズIDは各業種特有のオンライン申請にも対応しています。

【手続き例の一例】

  • 飲食業:食品衛生申請等システム
  • 農林漁業:e肥料
  • 鉱業:鉱業原簿登録更新サイト
  • 製造業:保安ネット など

GビズIDのメリット・デメリット

GビズIDを取得することで得られるメリットは、やはり業務の圧倒的な効率化でしょう。

【GビズIDのメリット】

  • 1つのIDで複数の申請や手続きができる(ID、パスワードの管理が簡潔になる)
  • 印刷、郵送、窓口での待ち時間など時間とコストを大幅に削減できる
  • 窓口の開庁時間を気にすることなく、いつでもどこでも手続きできる

一方で、以下のような注意点もあります。

【GビズIDのデメリット】

  • すべての行政手続きが電子対応しているわけではなく、現在は電子と書類(紙媒体)が併存し、逆に煩雑に感じることもある
  • 特に郵送の場合はIDの取得までに時間がかかる
  • 初期設定や電子証明書の扱いなど、最初はある程度の慣れが必要

現在は書類申請から電子申請への過渡期です。今後、電子申請がより一般化することで、デメリットは少なくなっていくでしょう。

GビズIDのアカウントの種類と違い

GビズIDには以下の3種類のアカウントがあります。

企業の場合、まずは「プライム」アカウントを作成します。プライムアカウントとは、

  • 法人代表者、個人事業主向け
  • 情報の閲覧から申請まで、すべてのサービスに対応
  • オンライン申請なら最短即日で審査完了

といったことが特徴の、「親」となるアカウントです。

またプライムアカウントを作成したあとは、実務を行う従業員向けの「メンバー」アカウントを作成できます(メンバーアカウントには、管理者権限を付与する/しないを選択できます)。

誰でも利用できる「エントリー」アカウントもあります。できることは行政サービスの閲覧などのみで、あくまで簡易的なアカウントです。法人で利用する機会は少ないでしょう。

GビズIDプライムの取得方法

GビズIDプライムの取得には「オンライン」と「書類郵送」の2種類の申請方法があります。

手続きがラクで早いことや、今後のオンラインの手続きに慣れるためにも、特別な理由がない限りはオンラインでの申請をおすすめします。

取得に必要なもの・準備するもの

  • 代表者のマイナンバーカード
  • パソコン(申請に利用)
  • メールアドレス(アカウントIDになる)
  • スマートフォン(カード読み取り、SMS受信に利用)
  • 電話番号(SMS受信に利用)
  • GビズIDのアプリ

メールアドレスやスマートフォン、SMS受信ができる電話番号は、必ずしも代表者のものである必要はありません。実際は会社代表のメールアドレスや実務担当者のスマートフォン、電話番号を利用することになるでしょう。

※ 書類郵送の場合、上記に加えて「印鑑証明書」「登録印」が必要です。

オンライン申請の流れ

  1. GビズIDトップページから申請情報の入力
  2. アプリでマイナンバーカードを読み取り
  3. ワンタイムパスワードでアプリ認証設定
  4. 審査(最短即日)
  5. 審査完了メールの受信、SMSに届くワンタイムパスワードを入力して完了

基本的に画面の指示に従って進めればOKです。

書類郵送で申請する場合、上記の3のあとに画面に表示される申請書をダウンロードの上、記名押印の上、印鑑証明書と合わせて郵送します。

送付先:〒530-8532 GビズID運用センター宛

オンライン申請なら即日、郵送の場合は審査完了までに1週間程度かかります。

手続きが完了すると、GビズIDのマイページ へログインできるようになります。

メンバーアカウントの作成

GビズIDプライムアカウントが作成できたら、適宜、実務を行う担当者のメンバーアカウントを作成しておきましょう。

メンバーアカウントの作成には、メンバー用のSMSが受信できるスマートフォン(または携帯電話)が必要です。

1〜3はプライムアカウントで、4以降は登録されるメンバー自身が手続きします。

  1. 【プライム】GビズIDのマイページ へログイン
  2. 【プライム】メニューから「GビズIDメンバー新規申請」
  3. 【プライム】メンバーのメールアドレス、電話番号を入力して登録
  4. 【メンバー】手続きメールを受信、URLから手続き
  5. 【メンバー】ワンタイムパスワードを入力、必要事項を入力して登録

登録完了後、プライムアカウントではマイページの「GビズIDメンバー管理」で、各メンバーが利用できるサービスを選択できます。

GビズIDに関するよくある質問

以下ではGビズIDに関するよくある疑問やトラブルをまとめます。

「GビズID」と「e-Gov」の違い

e-Gov は様々な行政手続きができるポータルサイトの名称です。e-Govを使うために必要なアカウント(認証システム)がGビズIDです。

プライムアカウントのメールアドレスや電話番号は代表者のものが必要?

代表者のものが必須というわけではありません。

実際は会社代表や部署のメールアドレス、社用や実務担当者個人のスマートフォンを利用することになるでしょう。

マイページにログインできない

  • アカウント(メールアドレス)を間違えている
    (例:メンバーアカウントで、プライムアカウントのメールアドレスを入力している など)
    →正しいアドレスを入力
  • パスワードを忘れてしまった・ロックがかかった
    パスワードの再設定
  • SMSが受信できない
    アカウントの復旧
  • SMSは受信できるが、アプリによる2要素認証ができない
    (例:アプリを入れたスマホを機種変更してしまった など)
    スマートフォンアプリ認証解除

代表者が変わった

代表者が変わった場合はGビズIDプライムを作成し直す必要があります

ただし法人の場合は、新たにGビズIDプライムを登録したあと、同一法人番号のアカウント情報(メンバーアカウントなど)を引き継ぐことができます

※ 旧代表者のアカウントを削除する前に、新代表者は同じアカウントID(メールアドレス)を使用できません。

GビズIDのセキュリティは安全?

デジタル庁はパスワード入力とアプリ認証による「2要素認証」によって、セキュリティを強化していること、個人情報はプライバシーポリシーに沿って適切に管理していることを公表しています。

「可能な限り会社が用意したスマホ・電話番号を使用する」「メンバーアカウントの作成は最小限に留める」といったユーザー側でできる対策も心がけましょう。

GビズIDの作成について相談するなら、まき社会保険労務士事務所へ

岡山市のまき社会保険労務士事務所では「お客様の悩む時間をゼロにしたい」という思いのもとで、社会保険等届け出・就業規則の作成・給与計算・助成金等の申請を行っています。

「気軽に相談できる身近なパートナー」となるべく、可能な限りサポートさせていただきます。岡山市周辺の方はもちろん、全国オンライン対応しておりますので、ぜひお問い合わせください。


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    参考資料

    この記事の執筆者
    まき社会保険労務士事務所 代表
    社会保険労務士 牧 あや