【効率化】給与計算ソフト導入ガイド|費用、選び方、導入支援まで

2025年07月30日
給与計算ソフトの導入

従業員が増えたり、法改正が続くと、給与計算業務の負担はますます増えていきます。

「ミスが許されないのに、毎月ギリギリで残業続き……」「手計算ではもう限界」——そんな悩みを抱えている担当者さんは多いです。

この記事では給与計算ソフトの導入によって得られる効果や、中小企業が導入しやすい給与計算ソフトの選び方をわかりやすく解説します。

 【この記事でわかること】

  • 給与計算ソフトで何ができる?業務はどう効率化される?
  • 給与計算ソフトの費用相場
  • 給与計算ソフトの選び方
  • ソフトの導入を専門家に相談・依頼するメリット

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給与計算ソフトとは

出典:マネーフォワード クラウド給与

給与計算ソフトは、従業員の給与を正確かつ効率よく計算するためのツールです。

基本給、残業代、各種手当、社会保険料、所得税などの計算を自動化することで、計算ミスを防ぐことができます。

また、限られたリソースの中で業務に対応しなければいけない中小企業にとって、給与計算ソフトを導入することは業務効率化の点でも有効です。

給与計算ソフトの種類

給与計算ソフトは「導入方法」と「機能」それぞれの視点で、グループ分けできます。

【導入方法】

  • クラウド型
    インターネットを介して利用するタイプ。初期費用が低く導入しやすい法改正や追加機能が自動でアップデートされるどこでも使える、などのメリットがある
  • インストール型
    企業のPCに直接、インストールして利用するタイプ。インターネット接続がなくても使える、自社特有の事情に合わせて細かいカスタマイズができる、などのメリットがある。初期投資が必要

【機能】

  • 人事労務管理型
    人事労務管理システムの1つとして給与計算機能があるもの。または複数の人事労務ソフトがシリーズで展開されているもの。勤怠情報をもとに自動で給与計算できるなど、人事労務業務を一元管理できる
  • 特化型
    給与計算だけの機能に特化したもの。機能がシンプルで使いやすい、低コストで使える、などのメリットがある
    (「特化」であっても、同社・他社の人事労務系のソフトと連携できることが多い)
  • ERP型
    給与計算ソフトだけでなく、会計、人事労務、在庫管理などの幅広い機能を備え、自社の情報を一元管理できる

例えばクラウド型 かつ 人事労務管理型の「マネーフォワードクラウド」は、給与計算と10の人事労務ソフトを利用できます。

出典:価格・料金プラン – 給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」

中小企業では導入ハードルが低いクラウド型が選ばれることが多いです。

機能面では、特化型や人事労務管理型はコストパフォーマンスを求める中小企業で利用されることが多く、ERP型は大規模な組織で採用される傾向があります。

「会計ソフト」「勤怠管理システム」との違い

人事労務関係の似たようなソフトとして、会計ソフトや勤怠管理システムがあります。

会計ソフトは会社の経理、財務状況を管理するためのツールです。

勤怠管理システムは従業員の勤怠管理(出退勤の時間、休暇・残業申請、シフト作成など)をサポートするものです。給与計算ソフトとの親和性が高く、連携して利用することで業務効率がアップします。

先述のとおり、「人事労務管理型」として一緒に提供されることもあります。

関連記事:勤怠管理システムを導入する前に知っておきたいこと

給与計算ソフトでできること・得られるメリット

給与計算ソフトでできる主な作業は以下のとおりです。

  • 給与・賞与の自動計算
    基本給、勤怠時間(残業時間)、手当などのデータから毎月の給与や賞与を自動で計算する
  • 給与明細の発行
    各従業員への給与明細を自動で作成し、電子的に配布する
  • 年末調整のサポート
    データを自動生成し、必要な書類を作成する
  • 社会保険料の更新
    法律や規則に変更に伴い、自動で料率を更新する
  • 賃金台帳の作成
    従業員ごとの賃金台帳を自動で作成し、法定帳簿の要件を満たす

導入で得られるメリット

給与計算ソフトの上記のような機能を活用することで、これまでの業務を大きく改善できます。

  • 計算ミス、転記ミスなど、Excelなどの手作業で発生していたミスを削減できる
  • 計算時間を大幅に短縮することで人件費の削減や、生産性の高い業務へリソースを配分できる
  • 頻繁に行われる社会保険料率や税制の改正にも自動で対応することで、法令遵守に対する精神的な負担を軽減できる
  • 他の人事労務業務と一元化できる

継続的なコストがかかる、操作に慣れが必要といったデメリットもありますが、長期的にはそれを上回る業務の効率化、生産性の向上が期待できます。

給与計算ソフトの費用目安(初期費用、月額費用)

給与計算ソフトの利用には初期費用と月額費用がかかります(インストール型の一部は、買い切りで利用できるものもあります)。

月額費用は導入するソフトの種類や機能、利用者の数(担当者のアカウント数)などの要素で決まります。

出典:ジンジャー(jinjer)

無料で試せるサービスも多いです。特に初めて人事労務系のソフトを導入する際は、積極的に無料トライアル利用してみるのが良いでしょう。

永年無料サービスの注意点

給与計算ソフトの中には永年無料を謳うものもあります。決して悪いものではありませんが、登録できるアカウント数や機能に制限があったり、サポートがなかったりすることが多いです。

予め無料の範囲でできること / できないことを確認するようにしましょう。

中小企業におすすめ(人気)の給与計算ソフト

以下はWebで「中小企業 給与計算ソフト おすすめ」で検索したときに、上位9つのサイトで紹介されているソフトの掲載数を集計したものです(複数サイトで紹介されているもののみ、2025年5月現在)。

※ 給与計算ソフトを提供している会社が自らおすすめしていたり、サイトに掲載することで紹介料を得ているものもあるため、あくまで、参考程度にとどめてください。

サービス名
(提供会社)
掲載数タイプ
freee人事労務
(フリー株式会社)
9クラウド
人事労務管理型
マネーフォワードクラウド
(株式会社マネーフォワード)
9クラウド
人事労務管理型
ジョブカン
(株式会社DONUTS)
7クラウド
人事労務管理型
ジンジャー
(jinjer株式会社)
7クラウド
人事労務管理型
フリーウェイ給与計算
(株式会社フリーウェイジャパン)
7クラウド
人事労務管理型
PCAクラウド
(ピー・シー・エー株式会社)
6クラウド
人事労務管理型
給料王
(ソリマチ株式会社)
6インストール
特化型
給与奉行iクラウド
(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

4
クラウド
人事労務管理型
POSITIVE
(株式会社電通)
3人事労務管理型
COMPANY
(株式会社カンパニー)
2ERP型
Gozal
(株式会社Gozal)
2人事労務管理型
KING OF TIME 給与
(株式会社ヒューマンテクノロジーズ)
2クラウド
人事労務管理型
円簿給与
(株式会社円簿インターネットサービス)
2クラウド
特化型
給与計算くん
(株式会社グッドウェーブ)
2特化型

給与計算ソフトの選び方

上記のような数ある給与計算ソフトの中から自社に合ったものを選ぶために、確認すべき項目をお伝えします。

前提として、中小規模の事業者の場合、メンテナンスや導入のコストが低く、他のサービスと連携しやすい「クラウド型」かつ「人事労務管理型」がおすすめです。

既存システムとの連携

現在利用している他の人事労務系のソフト(勤怠管理システム、会計ソフトなど)と連携できるかは、最優先でチェックしたいポイントです。

特に給与計算ソフトは勤怠管理システムとの連携が不可欠と言えるくらいに、相関関係にあります。

すでに勤怠管理システムを使用しているなら、まずは同じ会社が提供する給与計算ソフトを検討しましょう。

関連記事:勤怠管理システムを導入する前に知っておきたいこと

機能の充実度

給与計算や明細の発行、法改正への対応などの基本的な機能はもちろん、オプション(専門的な帳票類の作成など)や、カスタマイズ性も確認します。

ただし機能が多ければ良いわけでもありません。自社の課題に対して優先度を明確にし、余分な機能がついていない、シンプルで使いやすいものを選ぶという考え方も大切です。

アカウント数

給与計算ソフトは使用する担当者の数(=アカウント数)が増えると、料金も上がることが一般的です。最低限必要なアカウント数を把握しておきましょう。

また将来、アカウントを増やすときにかかる料金も確認しておきましょう。

使いやすさ・サポート体制

こればかりは実際に使ってみなければ、わかりづらいと思います。多くのサービスは無料のトライアル期間を設けています。新規で契約する場合、他社サービスからの乗り換えの場合、いずれも、お試しで使ってみることをおすすめします。

また、契約後にトラブルや使い方がわからないとき、チャットや画面共有などで、気軽に問い合わせられるかも、重要なチェックポイントです。

給与計算ソフトの導入を専門家に依頼するメリット

ここまで説明してきたように、給与計算ソフトは非常に種類が多く、特に初めて契約する場合は、最適なものを選ぶハードルが非常に高く感じてしまいがちです。

そこで給与計算ソフトを導入する際は、ぜひ、社会保険労務士などの専門家に相談し、導入のサポートを受けることを検討してみてください。

  • 給与計算の現場を熟知している専門家から、自社に合ったサービスを提案してもらえる(勤怠管理システムなども含め、総合的な提案を受けられる)
  • 法令を遵守するために必要な機能を網羅できる
  • サービスの調査や比較にかかる時間を大きく削減できる
  • システムの導入設定(初期設定)に対応している(別途費用がかかります)
  • 給与計算を丸ごと外注することもできる

導入を検討される際、まずは顧問契約を結んでいる社会保険労務士に相談してみるのが良いでしょう。

まき社会保険労務士事務所ではあらゆるソフトの導入支援に対応しております。お気軽にお問い合わせください。

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給与計算ソフト導入時に申請できる補助金「IT導入補助金」

ちなみに給与計算ソフトを導入する際は、「IT導入補助金(通常枠)」を活用できる可能性があります。

IT導入補助金
(通常枠)
補助対象・ソフトウェア購入費
・クラウド利用料(最大2年)
・オプション料
 ・機能拡張
 ・データ連携ツール
 ・セキュリティ
・導入・活用コンサル費
・導入・活用設定費
・保守費 など
補助率1/2以内
(条件該当で2/3以内)
補助上限150万円
(勤怠管理システムのみ
導入の場合)

参照:IT導入補助金

ソフトの利用料から、導入にかかわるコンサル費や設定費も助成対象です。ぜひ、活用を検討してみてください。

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岡山市のまき社会保険労務士事務所では「お客様の悩む時間をゼロにしたい」という思いのもとで、社会保険等届け出・就業規則の作成・給与計算・助成金等の申請を行っています。

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    この記事の執筆者
    まき社会保険労務士事務所 代表
    社会保険労務士 牧 あや