【11選】企業認定制度とは?主要な認定マークを紹介。メリットや選び方
「採用で自社の魅力をうまく伝えられない」「他社との差別化が難しい」。そう感じている企業に知ってほしいのが、国などが認める企業認定制度です。
企業が「公的なお墨付き」を得ることで採用ページや求人票に「認定マーク」を載せられるようになり、求職者は安心して応募しやすくなります。
この記事では、求人で有利になる主な認定制度・認定マークを紹介します。自社の強みに合った認定制度を探すための参考になれば幸いです。
【この記事のポイント】
- 認定制度は国や地方自治体、民間団体などの第三者が、様々な分野で一定の基準を満たした企業を評価して公的に認める仕組み
- 認定を得ることで採用力強化をはじめ、企業のブランディングや低利融資などの経済的メリット、従業員の定着率の向上などが期待できる
- 認定されることはゴールではなく、働きやすく魅力的な組織に改善し続けていくことが重要
目次
企業認定制度とは
企業認定制度とは、国や地方自治体、民間団体などの第三者機関が、様々な分野で一定の基準を満たした企業を評価して公的に認める仕組みのことです。認定を受けた企業は、自社のホームページや求人票などに専用のロゴマーク(認定マーク)を表示し、信頼できる企業であることを証明できます。

昨今は人手不足が深刻で、企業の採用活動が一層難しくなっている中、働きやすい職場づくりや、社会貢献などを行っている優良な組織を見える化して、企業の成長や人材確保を後押しすることを目的としています。
認定制度は、大きく分けると行政が運営するものと民間団体が運営するものがあり、行政の認定制度の中には国が全国一律で運営するものと、自治体が独自に運営するものがあります。
厚生労働省などの国の認定は育児支援や女性活躍など、国が重視する特定の分野において非常に信頼性が高く、一方で民間の認定は労働環境を総合的に評価するのが特徴です。
| 公的な認定 (国・自治体など) | 民間団体の認定 | |
|---|---|---|
| 運営主体 | 厚生労働省、経済産業省、自治体など | 一般財団法人、一般社団法人、民間企業など |
| 評価の特徴 | 1分野特化型 (育児支援、女性活躍など特定の分野を深く評価) | 総合評価型 (複数の領域を多角的な視点で柔軟に評価) |
| 強み | 公的な審査基準で高い信頼性と知名度がある | 働きやすさ全般を一括で確認でき、最新の実態が反映されやすい |
| 弱み | 特定分野のみの評価のため、会社全体の様子が見えにくい | 運営団体の信頼性は確認が必要 |
| 申請費用 | 基本的に無料、または低額 | 審査費用や認定料などのコストが発生 |
人的資本経営の広まりが追い風に
いま、多くの企業が認定制度に注目している大きな理由として、人材を資本として捉えてその価値を最大限に引き出す「人的資本経営」が重視されていることが挙げられます。
投資家や社会全体で人的資本に関する情報の開示が求められる中、第三者機関による認定は、自社の取り組みの成果を客観的に示すための重要な指標として活用されています。
関連記事:人的資本経営とは?を簡単に解説。経営・人材戦略を連動させる具体的な進め方
SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)投資への関心の高まりもあり、認定を取ることが企業のブランド価値を高める重要な経営戦略の一つとして見なされるようになっています。
企業認定制度のメリットと注意点
企業認定制度を活用することで以下のような具体的なメリットが期待されます。
- 採用力の強化
自社で「働きやすい」と発信するよりも、第三者機関が審査した認定マークを示したほうが、求職者に対して圧倒的に説得力がある - 企業ブランディング・強みの明確化
例えば後述する「くるみんマーク」があれば子育て支援、「えるぼし認定」なら女性活躍というように、その企業が何に力を入れているかが一目で伝わる - 経済的なインセンティブ
認定を受けることで助成金を申請できたり、通常よりも低い金利で融資を受けられる、公共調達(入札)で優先して選定されるなどの経済的メリットを受けられる - 社内体制の整備による定着率・生産性の向上
認定申請の厳しい条件をクリアするために自社の就業規則や社内体制を改善していくことが、結果として組織の強化につながり、定着率アップや生産性向上につながる
特に大きなメリットが「4」です。逆に言えば、認定を取得することだけが目的化してしまうと、規則や体制の整備が「形だけのもの」になってしまい、本質を見誤ることになります。
認定されることをゴールとせず、働きやすく魅力的な組織に改善し続けていくことが重要です。
ここからは主要な企業の認定制度・認定マークを以下の順に紹介していきます。
- 厚生労働省関連
- 経済産業省・他省庁関連
- 自治体・民間関連
【厚生労働省】主要な企業認定制度・認定マーク一覧
厚生労働省が所管する認定制度は、働く人の環境改善や福祉の向上に特化しています。育児支援や女性活躍、若者の雇用など、特定の分野ごとに深く評価される「分野特化型」の認定が多いのが特徴です。
1. くるみん・プラチナくるみん・トライくるみん

出典:くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて |厚生労働省
くるみん、プラチナくるみん、そして2022年4月に新設されたトライくるみんは、次世代育成支援対策推進法にもとづき、子育て支援に積極的な企業を厚生労働大臣が認定する制度です。
仕事と育児を両立しやすい職場であることを求職者へ客観的に伝えられる他に、認定を受けた中小企業は、仕事と家庭の両立支援に要した経費として、上限50万円の助成金を申請できます(2027年3月末までの予定)。さらに公共調達(入札)の加点や、賃上げ促進税制で税額控除が上乗せされるなど、経済的なメリットも大きい認定制度です。
主な取得要件
- 一般事業主行動計画を策定し、目標を達成する
- 育児休業の取得率、労働時間の管理などの認定基準を満たす
| 申請費用 | 無料 |
| 有効期間 | ・くるみん:なし ・プラチナくるみん:なし (1年に1回以上、取組状況の更新が義務) ・トライくるみん:3年間 |
| 参考URL | https://www.mhlw.go.jp/ |
関連記事:両立支援等助成金とは?2026年最新の6つのコースを紹介
2. えるぼし・プラチナえるぼし

出典:業種の特性に応じた仕事と生活の調和推進プラン|厚生労働省
えるぼし認定、プラチナえるぼし認定は、女性活躍推進法にもとづき、女性の活躍推進にかかわる取り組みが優秀な企業を認定する制度です。
優秀な人材、特に女性求職者に対して働きやすさを客観的な指標でアピールでき、上記の「くるみん」同様に公共調達時の加点や日本政策金融公庫による低利融資を受けられるなどのメリットがあります。
主な取得要件
- 適切な行動計画を策定・公表する
- 採用、継続就業、労働時間などの働き方、管理職比率、多様なキャリアコースについて基準を満たしている
- 年に1回以上、実績を女性の活躍推進企業データベースに公表する
| 申請費用 | 無料 |
| 有効期間 | なし (年に1回のデータ更新・公表が義務) |
| 参考URL | https://www.mhlw.go.jp/ |
3. ユースエール

ユースエール認定制度とは、若者の採用や育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を認定する制度です。
認定を受けることで若い力を活かせる優良企業であることを対外的にアピールでき、わかものハローワークや新卒応援ハローワークなどでの積極的な紹介、認定企業限定の就職面接会に参加できます。また低利融資や公共調達の加点対象といった経済的なメリットもあります。
主な取得要件
- 直近3事業年度に採用した新卒者などの離職割合が20%以下
- 正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下、有給休暇の平均取得率が70%以上、男性労働者の育休取得者が1人以上など
- 人材育成方針と教育訓練計画を策定など
| 申請費用 | 無料 |
| 有効期間 | 毎年、認定基準の適合確認(更新)を受ける必要あり |
| 参考URL | https://www.mhlw.go.jp/ |
4. もにす

出典:障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度|厚生労働省
もにす認定制度(障害者雇用優良中小事業主認定制度)は、障害者の雇用の促進や安定に関する取り組みが優良な中小企業を認定する仕組みです。
認定を受けた企業は、障害者雇用のロールモデルとして公表され、障害者雇用に積極的な優しい企業であることを対外的に証明できます。認定企業に限定した合同面接会などに参加できたり、低利融資の利用、公共調達による加点なども受けられます。
主な取得要件
- 常時雇用する労働者が300人以下の中小事業主
- 障害者雇用への取り組み、取り組みの成果、情報の開示について、一定以上の得点
- 法定雇用率を達成しているなど
| 申請費用 | 無料 |
| 有効期間 | なし (毎年、障害者雇用状況の報告やフォローアップの協力が必要) |
| 参考URL | https://www.mhlw.go.jp/ |
関連記事:障害者雇用の基本をわかりやすく解説。対象企業、最新の法定雇用率
5. 安全衛生優良企業公表制度(ホワイトマーク)

安全衛生優良企業公表制度は、労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善している企業を認定する制度です。
安全で健康に働ける環境であることを公的に証明でき、採用競争力や従業員の定着率の向上も期待できます。また認定基準に沿った取り組みを行うことで、メンタルヘルス対策や過重労働対策が強化され、従業員の健康障害や労働災害を未然に防ぎます。
主な取得要件
- 過去3年間、労働安全衛生関連の重大な法令違反がない
- 労働者の健康保持増進対策、メンタルヘルス対策、過重労働対策、安全管理などを積極的に実施 など
| 申請費用 | 無料 |
| 有効期間 | 3年間 |
| 参考URL | https://anzeninfo.mhlw.go.jp/ |
【経済産業省・他省庁関連】主要な企業認定制度・認定マーク一覧
経済産業省や環境省、国土交通省などが所管する認定制度は、企業の経営戦略や社会貢献に関わっているのが特徴です。従業員の健康管理、デジタル化、環境保護といった取り組みを通して、組織のブランド価値や競争力を高めることを目指します。
6. 健康経営優良法人認定制度(経済産業省)

健康経営優良法人認定制度は、地域の健康課題に即した取り組みや健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を「見える化」する制度です。
健康管理に配慮した優良企業であることを対外的にアピールできることはもちろん、健康経営によって職場の活力が上がり、組織の持続的な成長も期待できます。
大企業を対象とした「大規模法人部門」と、中小企業を対象とした「中小規模法人部門」があり、上位の法人には「ホワイト500」「ブライト500」などの称号が付けられるのも特徴です。
主な取得要件
- 健康経営度調査に回答する
- 経営理念、組織体制、制度・施策の実行、評価・改善などの項目で一定の基準を満たす など
| 申請費用 | ・大規模法人部門:88,000円/件 ・中小規模法人部門:16,500円/件 |
| 有効期間 | 1年間 |
| 参考URL | https://www.meti.go.jp/ |
7. 事業継続力強化計画認定制度(中小企業庁)

出典:BCPはじめの一歩 事業継続力強化計画をつくろう|中小企業基盤整備機構
事業継続力強化計画(通称:ジギョケイ)とは、中小企業が防災・減災対策を取り組む計画を策定し、それを国が認定する制度です。
地震や豪雨、感染症といった緊急事態が発生した際でも、事業を中断させず、また早期の復旧を可能にするための「企業の防災計画」としての役割を担います。
防災・減災に取り組んでいる姿勢をアピールでき、自家発電設備などの防災・減災設備を取得した場合に取得価額の一部を特別償却できる税制優遇や、低利融資を受けられるなどのメリットもあります。
主な取得要件
- 計画に初動対応、人員の安否確認、施設・設備の復旧、資金繰りなどの具体的な対策を盛り込む など
| 申請費用 | 無料 |
| 有効期間 | 最長3年(計画で定めた実施期間) ※ 2回目の申請(更新)も可能 |
| 参考URL | https://www.chusho.meti.go.jp/ |
8. DX認定制度(経済産業省)

出典:DX認定制度(情報処理の促進に関する法律第二十八条に基づく認定制度) (METI/経済産業省)
DX認定制度は、情報処理の促進に関する法律にもとづき、デジタル技術でビジネス戦略を変革する準備が整っている「DX(デジタルトランスフォーメーション)準備」企業を国が認定する制度です。
単なるIT化ではなく、経営戦略としてデジタル活用を推進している姿勢を評価するもので、取り組んだ企業の約70%がDX戦略の推進に効果があったと回答しています。低利融資やものづくり補助金の申請時加点、人材開発支援助成金を受けられるなどの経済的メリットもあります。
主な取得要件
- 最新のデジタルガバナンス・コードにもとづいた経営ビジョンの策定、戦略の公表、推進体制の整備などを行っている
- 策定した戦略や目標の達成状況などを、自社のホームページなどで社外に向けて公表している など
| 申請費用 | 無料 |
| 有効期間 | 2年間 (更新時は再審査あり) |
| 参考URL | https://www.meti.go.jp/ |
9. スポーツエールカンパニー(スポーツ庁)

出典:スポーツエールカンパニー | Sport in Lifeプロジェクト
スポーツエールカンパニーは、従業員の健康増進のためにスポーツ活動を積極的に支援・促進している企業や団体をスポーツ庁が認定する制度です。
運動を通じて従業員の活力を引き出し、健康管理を戦略的に進める企業を公的に評価することを目的としています。スポーツ庁のWebサイトに活動内容が掲載され認知度を高められるほか、スポーツによって従業員同士のコミュニケーションの活性、組織力の向上が期待されます。
週1回以上のスポーツ実施率が70%以上の場合の「+(プラス)認定」や、パラスポーツに取り組む企業を評価する「パラスポーツ部門」などもあります。
主な取得要件
- スポーツ庁が推進する「Sport in Life コンソーシアム」への加盟申請を行っている
- 事業所全体で推進している取り組み、取り組みが明確化されている など
| 申請費用 | 無料 |
| 有効期間 | 1年間 (年度ごとの認定。申請受付期間あり) |
| 参考URL | https://sportinlife.go.jp/ |
【自治体・民間関連】主要な企業認定制度・認定マーク一覧
自治体や民間が運営する認定制度は、国が実施する制度を補完する役割を担います。
10. 自治体独自の制度(岡山県内の認定例)
例えば岡山県内には以下のような企業認定制度があります。
- おかやま子育て応援宣言企業「アドバンス企業」
従業員の仕事と家庭の両立支援に特に積極的な企業を「アドバンス企業」として認定 - 津山市ワーク・ライフ・バランス推進企業
仕事と生活の両立や男女がともに働きやすい職場環境づくりなど、ワーク・ライフ・バランスに積極的に取り組む企業を認定 - 岡山県BCP認定制度
BCP(事業継続計画)の策定し、事業継続力、地域の防災力の向上を積極的に推進する企業を認定 - 新商品による新事業分野開拓事業者認定制度
中小企業が開発した優れた「新商品」を県が認定し、随意契約できるようにする制度
自治体による認定制度は、地域に密着したブランディングや経済的な優遇を受けられることが特徴です。地域ごとの働き方の課題に即した支援を受けられ、地元での採用力を強化したい企業にも適しています。
11. 働きがいのある会社

出典:働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan)
「働きがいのある会社」認定制度とは、世界的な専門機関であるGreat Place to Work Institute(GPTW)が、従業員アンケートの結果をもとに働きがいの高さを評価し、一定の水準を超えた企業を公認する民間の認定制度です。
実際に働く従業員のリアルな意見を参照しており、客観的で信頼性の高い指標として活用されています。
給与などの条件面だけでなく、価値観や文化を重視する求職者に自社の魅力を可視化して伝えることができます。また既存の従業員の自信や組織への帰属意識の高まりにより、離職防止や社内コミュニケーションの活性なども期待できます。
主な取得要件
- 直接雇用の全従業員を対象に匿名アンケートを行う
- 回答結果が一定の基準(スコア)を超えている など
| 申請費用 | 従業員数によって変動 |
| 有効期間 | 約1年間 (認定をキープするには毎年エントリーが必要) |
| 参考URL | https://hatarakigai.info/ |
認定取得のための手順
数ある認定制度の中から自社の特徴や取り組みたい課題に合ったものを選び、実際に認定されるための大まかな流れを確認しておきましょう。
- 取得すべき認定の選定と目標設定
自社の経営課題や改善したい領域に合わせて、どの認定を目指すかを決める。「女性活用」「若手採用」など、自社が最も力を入れたい分野を定め、分野に合った具体的な目標を定める(有給取得率◯%など) - 現状分析、行動策定
厚生労働省系の認定(くるみん、えるぼしなど)を取得する際は「具体的な目標」と「実施期間」を定めた計画書を作成し、労働局へ提出、社内周知・外部公表する - 取り組みの実施と目標達成
計画に盛り込んだ項目を推進し、実績を積み重ねる - 認定申請
基準を満たした段階で申請手続きを行う - 認定後の運用
認定はゴールではなく、継続的な情報開示と更新を行う(ロゴマークの活用、実績公表、更新審査への対応など)
採用について相談するなら、まき社会保険労務士事務所へ
岡山市のまき社会保険労務士事務所では「お客様の悩む時間をゼロにしたい」という思いのもとで、社会保険等届け出・就業規則の作成・給与計算・助成金等の申請を行っています。
「気軽に相談できる身近なパートナー」となるべく、可能な限りサポートさせていただきます。岡山市周辺の方はもちろん、全国オンライン対応しておりますので、ぜひお問い合わせください。
お問い合わせ
まき社会保険労務士事務所 代表
社会保険労務士 牧 あや
まき社会保険労務士事務所
