両立支援等助成金とは?2026年最新の6つのコースを紹介

2026年05月14日
両立支援等助成金

従業員から育児休業や介護休業の相談を受けたとき、「会社として何か使える助成金はないだろうか……」と感じたことはないでしょうか。

両立支援等助成金は育児や介護と仕事の両立に取り組む企業を国が金銭的に支援する制度で、現在では多くの中小企業に活用されるようになりました。

この記事では両立支援等助成金制度の基本と、令和8年度(2026年度)の全6コースの概要や支給額、申請の流れを紹介します。

「自社はどのコースが使えるのか」「何から手をつければいいのか」を検討するきっかけになれば幸いです。

 【この記事のポイント】

  • 両立支援等助成金は、育児や介護と仕事を両立できる職場環境を整えた企業への助成金制度
  • 「中小企業事業主」または「特定事業主」が対象
  • 2026年度は6コースが運用されている
  • 申請には就業規則などへの制度の規定、一般事業主行動計画の策定などが必要

両立支援等助成金とは?

両立支援等助成金は、育児や介護と仕事を両立できる職場環境を整えた企業に対して、厚生労働省が助成金を支給する制度です。

日本では育児や介護でそれまで勤めていた企業を退職せざるを得ない労働者の存在が長年の課題になっています。

退職者が継続的なキャリアを築けなかったり、生活の基盤となる収入を得られなくなることはもちろんのこと、優秀な人材が職場を離れてしまうことは企業にとっても大きな損失です。

こうした状況を改善するために、国が「従業員の育児・介護を支援する制度を整えた会社にはお金を出します」という形で、企業の取り組みを後押しするのがこの助成金の目的です。

2011年にそれまでバラバラだった助成金が統合され、今の形に再編成されました。その後は育児・介護休業法の改正や社会情勢の変化に合わせて、コースの新設・拡充が繰り返されており、2026年現在は6コース体制で運用されています。

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対象企業

両立支援等助成金の対象は、雇用保険の適用を受けている「中小企業事業主」または「特定事業主」です。助成金のコースによって対象となる企業が異なります。

「中小企業事業主」と「特定事業主」の定義は以下のとおりです。

業種中小企業事業主の基準特定事業主の基準
小売業資本金・出資が5,000万円以下
または
従業員 50人以下
資本金・出資が5,000万円以下
または
従業員 300人以下
サービス業資本金・出資が5,000万円以下
または
従業員 100人以下
資本金・出資が5,000万円以下
または
従業員 300人以下
卸売業資本金・出資が1億円以下
または
従業員 100人以下
資本金・出資が1億円以下
または
従業員 300人以下
その他の業種資本金・出資が3億円以下
または
従業員 300人以下
資本金・出資が3億円以下
または
従業員 300人以下

上記のとおり「すべての中小企業事業主は特定事業主に含まれる」という関係性です。

要するに特定事業主が対象のコースは中小企業事業主も含めてより多くの企業が助成金を受けられるということです。

申請期間

各コースとも原則、通年で申請できますが各コースで申請期限が設けられています(「育休の終了から2ヶ月以内」など)。

制度を使用する際は、前もって申請スケジュールを把握しておくことが重要です。

メリット

両立支援等助成金を活用することで、企業のは金銭面以外でもメリットが期待できます。

  • 優秀な人材の離職防止
    従業員のエンゲージメント向上、採用・教育コストが抑えられる
  • 採用競争力の向上
    採用面での差別化につながる
  • 就業規則・社内制度の整備
    申請要件を満たすために労務管理体制そのものが強化される
  • 管理職・上司の意識改革
    「部下の休業を当たり前に受け入れる」意識を持つようになる

2026年(令和8年)コース一覧

以下では2026年度における両立支援等助成金の全6コースの概要をお伝えします。

※ 各コースについて特定の条件を満たすことで支給額が加算されるものがありますが、この記事ではシンプルな原則の支給額のみをお伝えしています。

助成金は年度ごとに要件や助成金額が変わることがあります。またそれに伴い、支給申請書などの様式も変更されることがあるので、最新の内容を確認するようにしましょう。

1. 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

男性の育休の取得を促すために、子の出生から8週間以内に男性が育休を開始した場合、または企業全体の男性育休取得率が大幅に上昇した場合に助成金が支給されます。

支給金額

種別支給額備考
男性労働者の
育児休業取得
・1人目:20万円
(4つ以上の環境整備実施
30万円
・2人目・3人目:各10万円
同一事業主につき
3人目まで
男性労働者の
育児休業取得率の上昇等
60万円1事業主につき
1回限り

対象

①は中小企業事業主、②は特定事業主

主な支給要件・申請期限

① 男性労働者の育児休業取得

  1. 研修の実施や相談窓口の設置など、育児・介護休業法に基づく措置を複数実施
  2. 育休取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規程を策定し、実施
  3. 男性労働者が子の出生後8週間以内に育休を取得

申請期限:育休が終了した日の翌日から2ヶ月以内


② 男性労働者の育児休業取得率の上昇等

  1. 上記①の1と2を実施
  2. 前事業年度の男性の育休取得率が、前々事業年度より30ポイント以上上昇し、かつ50%以上に達している(または2年連続70%以上など)

申請期限:取得率が上昇した事業年度の、翌事業年度の開始日から起算して6ヶ月以内

関連記事:2025年4月から「育休の手取り10割」が実現。出生後休業支援給付金とは?

2. 介護離職防止支援コース

介護が必要な家族を持つ労働者の離職を防ぐため、会社が介護休業の取得・職場復帰を支援したり、介護と仕事を両立できる各種制度を整備・運用した場合に助成金が支給されます。

2026年度から「介護休暇制度の有給化支援」が新設され、全4種別の体制となりました。

支給金額

種別支給額備考
① 介護休業40万円1事業主5人まで
② 介護両立支援制度・A:制度を1つ導入
&利用で20万円
・B:制度を2つ以上導入&
1つ以上利用で25万円
1事業主5人まで
③-1 業務代替支援
(新規雇用)
20万円1事業主5人まで
③-2 業務代替支援
(手当支給等)
・A:介護休業代替:5万円
・B:介護短時間勤務代替:3万円
1事業主5人まで
④ 介護休暇制度有給化支援30万円1事業主1回限り

対象

中小企業事業主

主な支給要件・申請期限

① 介護休業

  1. 介護休業の取得・職場復帰支援に関する方針を社内に周知
  2. 対象労働者と面談を実施し、仕事と介護の両立支援プランを作成・実施
  3. 対象労働者が連続5日以上の介護休業を取得し、職場に復帰後も支給申請日まで継続して雇用されている

申請期限:介護休業終了日の翌日から3ヶ月経過する日の翌日から2ヶ月以内


② 介護両立支援制度

  1. 上記①の1・2を実施
  2. 介護両立支援制度(時差出勤・短時間勤務・在宅勤務・フレックスタイム・介護サービス費用補助)いずれかを導入し、対象労働者が一定基準以上利用

申請期限:導入した制度によって申請期限が異なる


③ 業務代替支援

(新規雇用)

  1. 対象労働者の介護休業中の業務を代替する要員を新規雇用または派遣受入により確保
  2. 対象労働者が連続5日以上の介護休業を取得

申請期限:対象となる介護休業終了日の翌日から2ヶ月以内

(手当支給等)

  1. 業務代替者への手当制度を就業規則等に規定
  2. 対象労働者が連続5日以上の介護休業を取得、または短時間勤務制度を合計15日以上利用
  3. 業務代替者への手当を実際に支給

申請期限:対象となる介護休業終了日の翌日から2ヶ月以内


④ 介護休暇制度有給化支援

  1. 法定の介護休暇を有給化し、利用に関する方針を社内に周知
  2. 対象労働者が有給化された介護休暇制度を一定基準以上利用

申請期限:制度の利用時間数が10時間に達した日の翌日から起算して2ヶ月以内

3. 育児休業等支援コース

育休の取得・職場復帰を会社として計画的に支援した場合に助成金が支給されます。

支給金額

種別支給額備考
① 育休取得時30万円無期・有期各1人、計2人まで
② 職場復帰時30万円同上
(①を受給した労働者のみ対象)

※両方を申請した場合の最大支給額は1労働者あたり60万円(+情報公表加算2万円)

対象

中小企業事業主

主な支給要件・申請期限

① 育休取得時

  1. 育休の取得・職場復帰支援に関する方針を社内に周知
  2. 対象労働者と面談を実施し「面談シート」と「育休復帰支援プラン」を作成
  3. 育休開始日の前日までに業務の引き継ぎを実施
  4. 対象労働者が連続3ヶ月以上の育休を取得している

申請期限:育休開始(産後休業の終了後に引き続き育休を取得する場合には産後休業開始)から起算して、3ヶ月が経過する日の翌日から2ヶ月以内


② 職場復帰時

  1. ①を取得した同一労働者
  2. 育休中に職務や業務に関する情報・資料を対象労働者へ提供
  3. 育休終了前に面談を実施し、結果を記録
  4. 原則として原職または原職相当職に復帰させ、復帰後も6ヶ月以上継続して雇用

申請期限:育休終了日の翌日から6ヶ月を経過する日の翌日から2ヶ月以内

4. 育休中等業務代替支援コース

育休取得者や育児短時間勤務者が出た際に、周囲の労働者がその業務を代替することへの手当支給、または代替要員の新規雇用に取り組んだ事業主を支援するコースです。

「周りに気兼ねなく育休を取れる職場」の実現を目的としています。

支給金額

種別支給額備考
① 手当支給等
(育児休業)
・A:業務体制整備費:
最大20万円
・B:業務代替手当:
支給額の3/4(最大240万円)
企業規模要件なし
② 手当支給等
(短時間勤務)
・A:業務体制整備費:
最大20万円
・B:業務代替手当:
支給額の3/4(最大108万円)
企業規模要件なし
③ 新規雇用
(育児休業)
最短7日以上:9万円
〜最長1年以上:81万円
特定事業主のみ

※①〜③合計で1年度10人まで、初回申請から5年間支給

対象

①②はすべての事業主、③は特定事業主

主な支給要件・申請期限

① 手当支給等(育児休業)

  1. 代替業務の見直し・効率化を行い、業務代替者への手当制度等を就業規則等に規定
  2. 対象労働者が7日以上の育休を取得し、復帰後も支給申請日まで継続雇用
  3. 業務を代替する労働者に対して、実際に手当を支給している

申請期限:育休期間によって異なる


② 手当支給等(短時間勤務)

  1. 上記①の1「手当制度の規定」を実施
  2. 対象労働者が育児のための短時間勤務制度を1ヶ月以上利用し、支給申請日まで継続雇用
  3. 業務を代替する労働者に対して、実際に手当を支給している

申請期限:短時間勤務利用期間によって異なる


③ 新規雇用(育児休業)

  1. 育休取得者の業務を代替する要員を新規雇用または派遣受入により確保している
  2. 対象労働者が7日以上の育休を取得し、復帰後も支給申請日まで継続雇用
  3. 代替要員が育休中に実際に業務を代替している

申請期限:育休期間によって異なる

5. 柔軟な働き方選択制度等支援コース

育児中の労働者が仕事と育児を両立しやすい環境を整えるため、テレワークや短時間勤務など柔軟な働き方に関する制度を導入した場合に支給されるコースです。

2026年度から「子の看護等休暇制度の有給化支援」が新設されました。

種別支給額備考
① 柔軟な働き方選択制度・制度を3つ導入・利用:
20万円
・制度を4つ以上導入・利用:
25万円
1事業主5人まで
② 子の看護等休暇制度
有給化支援
30万円1事業主1回限り

対象

中小企業事業主

主な支給要件・申請期限

① 柔軟な働き方選択制度

  1. 以下のうち3つ以上を就業規則等に規定し、対象労働者に周知
    • フレックスタイム制度
    • 時差出勤制度
    • テレワーク制度
    • 短時間勤務制度
    • 保育サービスの手配・費用補助
    • 養育両立支援休暇制度
  2. 対象労働者と面談のうえ「柔軟な働き方支援プラン」を作成し、実施
  3. 対象労働者が柔軟な働き方選択制度を一定基準以上利用

申請期限:6ヶ月間の制度利用期間の翌日から2ヶ月以内


② 子の看護等休暇制度有給化支援

  1. 法定の子の看護等休暇を有給化し、利用に関する方針を社内に周知
  2. 対象労働者が子の看護等休暇制度を一定基準以上利用

申請期限:制度利用時間数が10時間を達した日の翌日から2ヶ月以内

6. 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース

不妊治療や月経(PMS含む)、更年期といった女性の健康課題と仕事の両立を支援するための休暇・両立支援制度を整備した場合に支給されます。

2026年度に新設されたコースです。

支給金額

対象となる支援制度支給額備考
A 不妊治療のための
両立支援制度を5日(回)利用
30万円1事業主1回限り
B 月経に起因する症状への対応
のための支援制度を5日(回)利用
30万円1事業主1回限り
C 更年期に起因する症状への対応
のための支援制度を5日(回)利用
30万円1事業主1回限り

対象

中小企業事業主

主な支給要件・申請期限

A・B・C 共通要件

  1. A〜Cそれぞれに対応する制度を就業規則等に規定し、制度利用の手続きや賃金の取扱いを明確にしている
    • 休暇制度
    • 所定外労働制限制度
    • 時差出勤制度
    • 短時間勤務制度
    • フレックスタイム制度
    • 在宅勤務等
  2. 労働者からの相談に対応する両立支援担当者を選任
  3. 対象労働者がA・B・Cそれぞれに対応する制度を5日(回)以上利用

申請期限:各制度利用期間が合計5日(回)を経過する日の翌日から2ヶ月以内

申請の流れ(概要)

両立支援等助成金は申請するコースによって具体的な申請方法が異なります。ここでは全てのコースで共通する事前準備や申請の流れの概要をお伝えします。

  1. 自社が「中小企業事業主」「特定事業主」「いずれでもない」どれに該当するか確認する
  2. 自社に取り入れて現状の課題を解決できそうな制度・コースを確認する
  3. 必要に応じて就業規則や関連規程の整備、両立支援プランを策定する
  4. (コースによって)「一般事業主行動計画」を策定し、労働局へ提出する(休業事後では認められない)
  5. 従業員が実際に育休・介護休業等を取得し、また復帰する
  6. 申請書を作成し提出する(電子申請がおすすめ)

申請先は事業主の本社などの所在地にある労働局雇用環境・均等部(室)です。提出は電子申請がおすすめです。

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自治体独自の助成金・サポート制度も確認

自治体によっては、育児や介護などを助成する独自の制度を設けていることがあります。

例えば岡山県には「子育てしやすい職場環境助成金制度」という助成金があります。

子育てしやすい職場環境助成金制度

従業員の子育てに関する費用を企業が負担した場合に、費用の2分の1、上限10万円を県から助成される

  • 家事代行サービスやベビーシッターを利用費
  • 子育てのためのテレワークに要する備品や消耗品費(webカメラ、ヘッドホン等)
  • 病児保育の利用費

出典:岡山県 | 子育てしやすい職場環境助成金制度

両立支援等助成金と合わせて自治体の情報収集も行い、制度を最大限活用していきましょう。

両立支援等助成金に関するよくある質問

両立支援等助成金に関するよくある質問と回答をまとめます。

助成金の使徒は限定されますか?

助成金の使い道は限定されません。

大企業(300人超)でも申請できるコースはありますか?

「4. 育休中等業務代替支援コース」の手当支給は企業規模の制限がありませんので、大企業でも申請できます。

育休や介護休業の取得者がいない場合でも申請できるコースはありますか?

数ヶ月にわたる長期の休業を取得する従業員がいない場合でも、数日単位の「休暇」や日々の「勤務制度」の導入・利用を対象としたコースがあります。

自社の状況に合った「休暇制度」や「柔軟な勤務制度」の導入から検討されることをおすすめします。

申請が却下される主なケースにはどのようなものがありますか?

以下のようなケースでは申請が通らず不支給になるケースがあります。

  • 申請期限を1日でも過ぎた場合
  • 従業規則の規定が不十分な場合
  • 書類提出に不備がある場合
  • 対象労働者が休業中に過度に就業している場合
  • 対象外家族の介護で制度を利用した場合

助成金について相談するなら、まき社会保険労務士事務所へ

岡山市のまき社会保険労務士事務所では「お客様の悩む時間をゼロにしたい」という思いのもとで、社会保険等届け出・就業規則の作成・給与計算・助成金等の申請を行っています。

「気軽に相談できる身近なパートナー」となるべく、可能な限りサポートさせていただきます。岡山市周辺の方はもちろん、全国オンライン対応しておりますので、ぜひお問い合わせください。


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    この記事の執筆者


    まき社会保険労務士事務所 代表

    社会保険労務士 牧 あや