食事補助の非課税上限が7,500円へ引き上げ|改正内容と実務対応

2026年08月03日
食事補助

2026年4月、企業が従業員に支給する「食事補助」の非課税限度額が月3,500円から7,500円に引き上げられました。企業はこれまでよりも手厚く従業員の日々の食事をサポートできるようになり、従業員の実質的な手取りアップになります。

この記事では今回の食事補助の非課税限度額の引き上げ、食事補助制度の基本、所得税と社会保険料に影響しない補助金額の設定方法についてお伝えします。

 【この記事のポイント】

  • 食事補助とは企業が現物で負担する福利厚生
  • 2026年4月、食事補助の非課税限度額が7,500円(税別)に引き上げられた
  • 社会保険料の計算では実際にかかった金額ではなく「現物給与価額」を用いる

食事補助の非課税限度額が改正

2026年4月から、会社が負担する食事補助の非課税にできる上限額が、これまでの2倍以上となる月額7,500円(税別)に引き上げられました。

項目改正前
(〜2026年3月)
改正後
(2026年4月〜)
食事補助の非課税枠
(月額)
3,500円以下(税別)7,500円以下(税別)
深夜勤務者の夜食手当
(1回につき)
300円以下(税別)650円以下(税別)

上記の金額の範囲内であれば、食事補助は「福利厚生費」として処理でき、従業員には所得税がかからず、会社も経費に計上できます

食事補助の非課税枠は1984年に設定されて以来、42年間、変わっていませんでした。この間の物価変動に加え、昨今の急激な食料品価格の高騰もあり食事代の負担は増していることから、経済の実態に合わせて引き上げられることになりました。

また深夜勤務における、現物で食事を提供できない代わりに支給する現金(夜食手当)についても、これまでの「1回につき300円以下」から、「1回につき650円以下」まで非課税で支給できるようになっています。

参照:食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて|国税庁

食事補助の基本(主に税制面)

「食事補助」とは、企業が従業員の食事代の一部を現物で負担する福利厚生のことです。

例えば「食事手当」として現金で支給するものは給与と同じ扱いになるので、従業員の所得税や社会保険料の算定対象になります。

一方で社食、弁当の支給、専用の食事カードといった現物で提供されるもので、一定の条件を満たしたものは、従業員の所得税や社会保険料には影響せず、また会社側も経費に計上できます。

条件

食事の提供が税制上における「食事補助(福利厚生費)」として認められるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 従業員が食事価額の50%以上を負担
    会社が全額負担したり、従業員の負担が半額未満の場合は対象外
  2. 会社の負担が月額7,500円(税別)以下
  3. 現金ではなく現物で支給している
    ただし、深夜勤務の特例あり
  4. すべての従業員を対象としている
    特定の役員、一部の部署・社員だけを優遇する制度は対象外
  5. 常識的な食事内容である
    相場を超える贅沢なもの、酒、タバコなどは対象外

また実務上は、食事補助を会社の正規の制度として透明性高く運用するために、就業規則や給与規程、福利厚生規程などで明文化しておくことも条件と言えます。

税別(税抜き)・10円未満は切り捨て|計算方法

食事補助の非課税限度額である月額7,500円に収まっているかを判定する際は、消費税を含まない税別(税抜き)の金額で計算し、10円未満の端数は切り捨てます。

特に2026年現在、食品にかかわる消費税はお弁当やテイクアウトなどの軽減税率(8%)が適用されるものもあるため、税別価格を計算する際は注意が必要です。

【食事補助が7,500円(税別)以下に収まっているか確認する手順】

  1. 1ヶ月の食事価額の総額(税込)から従業員が負担した金額(税込)を差し引き、会社負担額(税込)を算出する
  2. 「1」を1.08(軽減税率)または1.1(標準税率)で割り、税別の会社負担額を算出する
  3. 「2」の10円未満を切り捨てる

例:会社負担額(税別)が7,509円の場合、10円未満を切り捨てで非課税限度額に収まる

例外ケース

食事補助について、以下の例外ケースがあります。

  • 深夜勤務における現金支給
    深夜勤務で食事の提供が難しい場合のみ、現金支給でも食事補助として認められる(650円以下/回)
  • 残業や宿日直における自己負担0円の食事
    残業や宿日直の場合は、会社が全額負担しても福利厚生費に認められる(現物支給のみ)
  • 「会議費」として計上するケース(会社が全額負担)
    いつ、誰と、どのような業務上の話し合いをしたのかを議事録に残しておく。食事補助の枠とは別で管理

食事補助と社会保険料

食事補助の原則的なルールはここまで説明してきたとおりですが、社会保険料の算定においてはルールが異なります。

基準は「現物給与価額」

所得税の場合は、会社がお弁当業者などに実際に支払った金額(購入価格)が判定基準でしたが、社会保険では実際の購入価格がいくらであったかにかかわらず、国が都道府県ごとに定めた「現物給与価額」を用います。

出典:令和8年4月から現物給与の価額が改正されます|日本年金機構

例えば岡山の企業が昼食のみを支給する場合、1日あたりの金額を290円と見なして計算します。

3分の2ルール

所得税の場合、従業員が食事代の半分(50%)以上を負担することが福利厚生費として認められる条件でしたが、社会保険では従業員が3分の2以上を負担しているかどうかで、社会保険料の算定対象になる「標準報酬月額」に含めるかどうかが決まります。

①【現物給与価額の3分の2以上を食事代として徴収している場合】

現物による食事の提供はゼロとみなす(社会保険料に影響しない)

例:岡山の事業所が1ヶ月に20日間、昼食を提供

  • 1ヶ月当たりの現物給与価額 = 290円 × 20日 = 5,800円
  • 従業員の食事代の負担額 = 4,000円(負担額は3分の2以上)

この場合、標準報酬月額に算入する金額は0円


②【現物給与価額の3分の2未満を食事代として徴収している場合】

現物給与価額から徴収額を差し引いた金額を標準報酬月額に含める(社会保険料に影響する)

例:岡山の事業所が1ヶ月に20日間、昼食を提供

  • 1ヶ月当たりの現物給与価額 = 290円 × 20日 = 5,800円
  • 従業員の食事代の負担額 = 2,000円(負担額は3分の2未満)

5,800円 – 2,000円 = 3,800円を標準報酬月額に含める

関連記事:現物給与とは?社会保険や労働保険、税金との関係を初心者向けに解説

ケーススタディ:1食900円(税込)のランチ(外食)を月20回支給する場合

上記のとおり、同じ食事を提供するにしても、従業員の所得税を非課税にするための計算と、社会保険料を上げないための計算は全く異なります。

今回、改正された「所得税の非課税上限7,500円」だけに注目するのではなく、「社会保険料の3分の2ルール」も踏まえた上で、会社の負担額を決めることが重要です。

そこで以下のケースについて、所得税と社会保険料、それぞれの観点で従業員の負担額をいくらに設定するのが良いか考えてみましょう。

項目数値
1食あたりの食事代(税込・外食)900円
月の食事回数20回
月の食事代合計(税込)18,000円
現物給与価額(社保算定用)290円×20食=5,800円

所得税にかかわる計算

  1. 食事代を税別価格に変換
    18,000円 ÷ 1.1(外食のため標準税率)= 16,360円(10円未満切り捨て)
  2. 従業員の最低負担額を確認
    16,360円 – 7,500円(非課税上限会社負担額) = 8,860円
  3. 従業員が50%以上負担しているか確認
    8,860円 ÷ 16,360円 = 約54%(条件クリア)

社会保険料にかかわる計算

  • 5,800円 × 2/3 = 3,867円(社会保険料に影響しない従業員負担の最低負担額)

→1食900円(税込)のランチを月20回提供する場合、従業員が月8,860円(税別)以上を負担すれば、所得税・社会保険料のどちらにも影響しない制度設計が可能


実務上は社会保険料の現物給与価額が実際の食事代より低く設定される傾向にあるため、「従業員が食事代(税別)の50%以上を負担」をクリアすれば、社会保険料の3分の2ルールも同時に満たせることが多いと言えます。

上記は簡易的なシミュレーションです。計算に不安がある場合は、税理士や社会保険労務士に相談しましょう。

まき社会保険労務士事務所へ気軽に相談してみる >

食事補助に関するよくある質問

食事補助に関してよくある質問と回答をまとめます。

7,500円は1円でも超えると全額課税対象になりますか?

非課税上限額を1円でも超えると、超えた分だけでなく、会社が負担したすべての金額が給与とみなされ、課税対象になります。

給与明細にはどのように記載すれば良いですか?

従業員負担分を給与から天引き(控除)する場合は、控除欄に「食事代」などの項目で記載するのが一般的です。

役員にも適用されますか?

役員にも従業員と同じ条件で適用されます。

ただし、役員だけを対象にしたり、役員だけ補助額を上乗せしたりするなど、特定の人だけを優遇するような運用は認められません。

社会保険について相談するなら、まき社会保険労務士事務所へ

岡山市のまき社会保険労務士事務所では「お客様の悩む時間をゼロにしたい」という思いのもとで、社会保険等届け出・就業規則の作成・給与計算・助成金等の申請を行っています。

「気軽に相談できる身近なパートナー」となるべく、可能な限りサポートさせていただきます。岡山市周辺の方はもちろん、全国オンライン対応しておりますので、ぜひお問い合わせください。


お問い合わせ

    電話連絡を希望メールでの連絡

        

    ※当事務所のご相談・ご依頼は、法人・個人事業主様を対象とさせていただいております。個人の方からのお問い合わせは承っておりませんので、あらかじめご了承ください。

    上記を了承します


    この記事の執筆者


    まき社会保険労務士事務所 代表

    社会保険労務士 牧 あや