【25年4月】失業給付(基本手当)が1ヶ月で支給。雇用保険法の改正を解説

2026年02月27日
25年4月施行 雇用保険法改正

雇用保険法の改正により、2025年4月から段階的に雇用保険に関するルールが改正されます。

「失業給付(基本手当)」のルール改正など、多くの労働者が身近に感じやすい変更が含まれており、報道などでも話題になっています。人事労務担当者として、最新の動向と情報を改めて確認しておきましょう。

 【この記事のポイント】

  • 雇用保険の基本手当は、労働者が離職後に就職の意思と能力があるにもかかわらず仕事に就けないときに、一定期間・一定額が支給される公的な制度
  • 2025年4月から2028年にかけて段階的に改正される
  • 主な変更点は給付制限期間の短縮、教育訓練等を受けた場合の給付制限解除など

失業給付(基本手当)とは

雇用保険の基本手当は、労働者が失業したときに生活を安定させ、再就職をサポートする公的な制度です。一般的に「失業給付」「失業保険」と呼ばれることが多いです。

雇用保険による給付にはいくつかの種類がありますが、その中心が「基本手当」であり、離職後に就職の意思と能力があるにもかかわらず仕事に就けないときに、一定期間・一定額が支給されます。

関連:【事業主向け】雇用保険のキホン 加入条件、手続きをわかりやすく解説

失業給付(基本手当)の概要

  • 基本手当を受けるためには、ハローワークで求職の申し込みが必要
  • 離職前2年間に通算12ヶ月以上の雇用保険の加入が必要
  • 給付額は離職前の給与(賃金日額)の約5割~8割
  • 受給できる期間(所定給付日数)は離職の理由や雇用保険の加入期間、年齢によって変わる
  • 実際に支給されるまでに「待機期間(7日間)」と「給付制限期間」が設けられている

【失業給付関連】2025年4月施行 雇用保険法の改正ポイント

2024年に改正が決まった雇用保険法は、2025年(令和7年)から2028年(令和10年)にかけて、段階的に施行されます。

このうち、2025年4月に施行された基本手当や失業にかかわる支援への変更点をピックアップして紹介します。

1. 自己都合退職者の給付制限期間の短縮(2ヶ月→1ヶ月)

2025年4月から、自己都合退職者が失業給付(基本手当)を受け取るまでの「給付制限期間」が大きく短縮されました。

これまでのルールでは自己都合で退職した場合、

  • 7日間の待機期間
  • その後、2ヶ月の「給付制限期間」

があり、実際に給付を受けるまでには、手続きから最短で約2ヶ月半かかっていました。

2025年4月の改正で給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮され、待機期間7日間+給付制限期間1ヶ月間となり、早期に基本手当を受けられるようになりました。

労働者としてはより転職しやすい環境になった反面、企業側としては人材流出のリスクが高まることは避けられません。良い人材を定着させるためのキャリア支援や待遇の改善策がいっそう求められるようになります。

2. 自己都合退職者が教育訓練等を受けた場合の給付制限解除

2025年4月以降、自己都合退職者が厚生労働省が指定した教育訓練(職業訓練やリスキリング講座など)を受講すると、給付制限期間が撤廃されます。

具体的には離職の前1年以内に教育訓練を受講した人、または離職後に受講を始めた人が対象になります。

これにより、例えば離職前に教育訓練を受講しておけば、7日間の待機期間を経たのちに、すぐに基本手当を受けられることになります。

対象の教育訓練は厚生労働省のシステムで検索できるほか、ハローワークで確認できます。

関連記事:25年10月「教育訓練休暇給付金」が開始。会社側の要点をわかりやすく解説

3. 就業促進手当の見直し

基本手当を受給できる期間(所定給付日数)を残して早めに就職したときに給付される、就業を促進する手当が廃止・改定されました。

  • 就業手当
    廃止
  • 再就職手当
    据え置き
  • 就業促進定着手当
    支給上限を「支給残日数の40%または30%」→「20%」に引き下げ

現状の労働市場の状況や財政的な視点で検討され、縮小・廃止されました。ただし「再就職手当」はこれまでと変更はありません。

4. 教育訓練支援給付金の給付率引下げ

45歳未満の離職者が初めて専門実践教育訓練を受講したとき、訓練期間中に受給できる「教育訓練支援給付金」が、以下のとおり引き下げられました。

  • 2025年3月まで
    基本手当日額の80%」を2ヶ月ごとに支給
  • 2025年4月以降
    基本手当日額の60%」を2ヶ月ごとに支給

また制度自体は2024年度末までの暫定措置でしたが、2026年度末まで2年間延長されました。

5. 雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、地域延長給付制度の延長

雇止め(契約期間満了による更新打ち切り)で離職した人への「基本手当」の給付日数が通常より長くなる特例が、2026年度末まで2年間延長されました。

※ 通常の自己都合退職者の基本手当の給付日数が90~150日なところ、雇止め離職者は、倒産や解雇と同じ「特定受給資格者」として扱われ、90日~330日と、より長い期間、基本手当を受けられる

また、雇用機会が不足している地域に住む人への「地域延長給付」も同様に2026年度末まで2年間延長されました。

従業員から特によく上がる疑問・質問

以下、雇用保険の基本手当の受給を中心に、従業員からよく上がる疑問と回答をまとめます。

失業給付(基本手当)の給付制限の撤廃はいつから?

先述のとおり、2025年4月以降、厚生労働省が指定する教育訓練を受講するか、離職1年以内に受講していた場合は、給付制限期間が撤廃されます。

無条件に給付制限期間が撤廃されるわけではないことに注意が必要です。

自己都合退職でも基本手当をすぐにもらう方法は?

2026年時点で基本手当の支給を最短で受けるには

  • 教育訓練(リスキリング)を受講する
  • 特定理由離職者または特定受給資格者に該当する

いずれかです。特定理由離職者または特定受給資格者に該当すると、会社都合での離職となり給付制限期間はありません。

  • 特定理由離職者
    病気ケガ、妊娠・出産、両親の介護、希望退職者の募集 などで離職する場合
  • 特定受給資格者
    企業の倒産、事業所の廃止・移転、解雇、賃金の未払い、長時間労働、ハラスメントなどで離職する場合

ただし、いずれも待機期間はありますので「すぐにもらう」という表現は適切ではありません。

失業給付(基本手当)は何ヶ月もらえますか?

自己都合退職の場合、雇用保険の被保険者期間(勤続期間)に応じて異なります。

雇用保険被保険者期間
(勤続期間)
給付日数
1年未満90日
1年以上5年未満90日
5年以上10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

ただし給付を受ける権利がある「受給期間」は、原則として、離職した日の翌日から1年間であり、超えてしまうと日数が残っていたとしても、給付は終了します。

また会社都合での退職や特定受給資格者の場合は、年齢や被保険者期間によって、最大330日まで給付日数が延びます。

給付制限期間(1ヶ月位内)または基本手当を受給中に早く就職すると損をしますか?

給付制限期間中(2025年4月から1ヶ月間)に再就職した場合、基本手当は支給されませんが、条件を満たせば、再就職手当を受けられる可能性があります。

▼再就職手当

  • 支給残日数を2/3以上残して再就職
    基本手当の支給残日数の70%
  • 支給残日数を1/3以上残して再就職
    基本手当の支給残日数の60%

また再就職手当を受けた上で、再就職先に6ヶ月以上雇用され、その6ヶ月の賃金が、離職前の賃金よりも低い場合は、「就業促進定着手当」として、基本手当の支給残日数の20%を上限に給付を受けられます。

就職をすれば新たに給与が発生しますので、必ずしも早期の就職が「損」というわけではありません。

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    この記事の執筆者
    まき社会保険労務士事務所 代表
    社会保険労務士 牧 あや