【基本】年次有給休暇のルールを解説。誰が、いつ、何日間取得できる?

2025年12月10日
年次有給休暇

年次有給休暇は法律にも定められている従業員の「権利」です。適切に制度を運用することで、従業員のモチベーションアップや、優秀な人材の定着にもつながります。

人事労務担当者としては付与の条件や日数などの基本的なルールを確実に押さえておきましょう。

 【この記事でわかること】

  • 年次有給休暇は誰に、いつ、何日間、付与されるのか
  • 休暇の取得を断ったり、強制させることはできるのか
  • 休暇の日数や取得状況を効率よく管理する方法

年次有給休暇とは?定義と基礎知識

年次有給休暇は労働者が取得できる給与が支払われる休暇のことです。労働者の心身の疲労を回復するために設けられている制度で、労働基準法第39条で定められています。

年次有給休暇の取得は労働者に与えられた権利であり、使用者は労働者からの請求に応じて与えなければいけません。

付与要件(対象の労働者)

年次有給休暇が付与されるためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

正社員のみならず、パートやアルバイト、試用期間中の社員なども対象です。

  1. 雇入れの日から6ヶ月継続勤務している
  2. 全労働日の8割以上を出勤している

※業務上の怪我や病気で休んでいる期間、育児休業・介護休業の期間は、出勤したものとしてみなされます。

付与されるタイミングと日数(原則)

初回の年次有給休暇は、雇入れから6ヶ月経過したタイミングで10日間、付与されます。

その後は以下のとおり、1年毎に、6年6ヶ月経過まで毎年、付与される日数が増えていきます(7年6ヶ月以降も、毎年20日間、付与)。

雇入れからの経過付与日数
6ヶ月(最初の付与)10日
1年6ヶ月11日
2年6ヶ月12日
3年6ヶ月14日
4年6ヶ月16日
5年6ヶ月18日
6年6ヶ月20日(上限)
7年6ヶ月
(以後、1年ごと)
20日

上記の日数は最低限の付与日数であり、企業は独自の裁量でこれを上回る日数を付与できます。そのため有給休暇の日数は会社によって違います。

比例付与(パートやアルバイトなど)

先述のとおり、年次有給休暇はパートタイム労働者やアルバイトにも適用されますが、フルタイム勤務者(正社員など)よりも労働日数が少ないため、「原則」とは付与される日数などが異なります。これを有給休暇の「比例付与」と言います。

具体的には週の所定の労働日数が4日以下、かつ 週の所定の労働時間が30時間未満の労働者には、以下の日数が付与されます。

週所定
労働日数
1年間の所定
労働日数
雇入れ日から起算した継続勤務期間(0.5年=6ヶ月)
0.5年
経過
1.5年
経過
2.5年
経過
3.5年
経過
4.5年
経過
5.5年
経過
6.5年
以上経過
4日 169日~
216日
7 8 9 10 12 13 15
3日 121日~
168日
5 6 6 8 9 10 11
2日 73日~
120日
3 4 4 5 6 6 7
1日 48日~
72日
1 2 2 2 3 3 3

例1:社会保険に入りたくないので「週20時間未満、週所定労働日数3日」で働いているパート労働者の場合

雇入れから6ヶ月経過したタイミングで、5日の年次有給休暇が付与される。

例2:シフト制の週所定労働日数が変化する職場で、半年で70日勤務した場合

入社から6ヶ月の実際の労働日数を2倍した日数を、1年間の所定労働日数とみなす。

この場合、年間の所定労働日数を140日とみなし、雇入れから6ヶ月経過したタイミングで、5日の年次有給休暇が付与される。

時間単位の取得

年次有給休暇は時間単位での取得が認められています。子どもの学校行事への参加や介護など、柔軟な休暇の取得を厚生労働省も推奨しています。

時間単位の年次有給休暇制度を取り入れる際は、以下の点に留意が必要です。

  • 時間単位で取得できるのは年5日の範囲
    (1日の所定労働時間が8時間の場合、年間で最大40時間)
  • 就業規則へ記載する
  • 労使協定を締結する
    (労働基準監督署への提出は不要)

有効期限と繰り越し

付与された年次有給休暇の有効期限は2年間です(労働基準法第115条)。

例えば2025年10月1日に10日間付与された休暇は、2027年10月1日に消滅します。

つまり休暇を繰り越せるのは、取得した翌年度までということになります。

「年次有給休暇(年休)」と「有給」の違い

ここまで労働基準法によって定められている有給休暇のことを「年次有給休暇(=年休)」と記載してきました。

一方でよく使われる「有給」という言葉には、企業が独自に定めた有給休暇(結婚休暇、誕生日休暇など)も含むことがあり、より広い意味を持ちます。

合わせて知っておきたい有給休暇のルール

人事労務担当者が、年次有給休暇の原則と合わせて知っておきたい知識をお伝えします。

時季変更権

年次有給休暇は原則、労働者が指定する日に与えなければいけません。

ただし、労働者が指定する日に休暇を与えることで事業の運営が妨げられる場合は、使用者側には休暇日を変更できる権利が認められています。これを時季変更権と言います。

時季変更権の使用が認められるのは「代替の人員を確保できない」「繁忙期に休暇取得者が重なった」など、限定されたケースのみです。単純に「忙しいから」などの理由では行使できません。

時季指定義務

「時季指定義務」とは、年10日以上の休暇が与えられる労働者に対しては、年5日は使用者側(会社側)が時季を指定して休暇を取得させなければいけないルールです。

平成31年(2019年)4月に働き方改革の一環として、年次有給休暇の取得率を上げるために導入されました。違反した場合、使用者側に30万円以下の罰金が課されます。

年10日以上の休暇が付与されるすべての労働者が対象です(正社員、パート・アルバイト、管理監督者などを含む)。

出典:年次有給休暇の時季指定義務|厚生労働省

ただし労働者が自ら申請して、既に5日以上の休暇を取得している場合は、時季指定は不要です。

計画的付与制度

年次有給休暇の取得を促進する制度として「計画的付与制度」もあります。

この制度では、年次有給休暇のうち5日を超える分は、労使協定を結べば、使用者が計画的に休暇取得日を割り振れるとしています。労働者としては取得日が(強制的に)割り振られることで、ためらいなく休暇を取ることができます。

例えばお盆や年末年始の休暇、飛び石連休となっている場合などで、計画的付与制度を組み合わせて、大型連休にする取り組みがあります。

出典:年次有給休暇の計画的付与制度|厚生労働省

買い上げの原則禁止

「年次有給休暇の買い上げ」とは、労働者が取得せず、本来消滅してしまうはずの有給休暇を、企業が金銭で買い取ることを指します。労働者は休暇を取得せず、その代わりにお金を受け取ることになります。

冒頭でお伝えしたとおり、年次有給休暇は「労働者の心身の疲労を回復するため」に設けられている制度であり、買い上げは本来の趣旨に反するため、原則禁止されています。

ただし、以下のような場合は休暇の買い上げが違法にならないことがあります。

  • 退職する際に有給が余るとき
  • 法定の年次有給休暇を超えて付与している分の休暇があるとき
  • 年次有給休暇の期限が切れるとき(会社側は拒否できる)

これらの場合も「必ず買い上げできる」というわけではなく、労使で合意する必要があります。

先述の通り、日本では有給休暇の買い取りは原則として違法ですが、海外では買い取りが違法ではない国もあります。外国人技能実習生を受け入れている会社は、有給休暇の買い取りはできない旨を受け入れるタイミングでしっかり伝えておくことが推奨されます。

年次有給休暇の管理方法

年次有給休暇の付与・取得状況は労働者ごとに異なるため、適切な管理が必要です。

先述の2019年の時季指定義務が導入されたタイミングで、労働者ごとに「年次有給休暇管理簿」を作成して、3年間保存することも義務化されました。

出典:年次有給休暇管理簿について|山口労働局

年次有給休暇管理簿には「基準日」「取得日数」「取得時季」の記載が求められます。

厚生労働省は上記のような管理簿のひな型をExcelデータで配布していますが、企業の規模が大きくなってくると、誰に、いつまでに休暇を取得させなければいけないのか、わかりづらくなります。

そこで勤怠管理システムを使って年次有給休暇を管理する方法がおすすめです。有給休暇の残日数、期限日、使用日を一覧で確認でき、法定の年次有給休暇管理簿としても認められています。

勤怠管理システムの基本については、以下の記事で詳しく解説しています。また、まき社会保険労務士事務所でも導入のサポートを行っています。

関連:勤怠管理システムを導入する前に知っておきたいこと

年次有給休暇について相談するなら、まき社会保険労務士事務所へ

岡山市のまき社会保険労務士事務所では「お客様の悩む時間をゼロにしたい」という思いのもとで、社会保険等届け出・就業規則の作成・給与計算・助成金等の申請を行っています。

「気軽に相談できる身近なパートナー」となるべく、可能な限りサポートさせていただきます。岡山市周辺の方はもちろん、全国オンライン対応しておりますので、ぜひお問い合わせください。


お問い合わせ

    電話連絡を希望メールでの連絡

    顧問・労務相談セミナー依頼記事執筆・監修のご相談その他

        


    参考

    この記事の執筆者
    まき社会保険労務士事務所 代表
    社会保険労務士 牧 あや