65歳超雇用推進助成金とは?申請方法と給付額について解説

2026年03月26日

 【この記事のポイント】

  • 65歳超雇用推進助成金制度は、高年齢の従業員が働き続けられるように制度を整えた企業に助成金が給付される
  • 定年引き上げ、雇用管理制度の整備、50歳以上の有期契約従業員を無期雇用へ転換、の3コースがある
  • 高齢者を活用する方針を定め、労働協約や就業規則を整備して助成金申請を行う

65歳超雇用推進助成金の目的と概要

「65歳超雇用推進助成金制度」は、生涯現役社会を目指し高年齢者が働き続けられるように、環境を整備した企業を支援する制度です。

条件を満たした事業主に対して助成金が給付されます。

令和3年4月1日から、高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの就業機会確保が努力義務となりました。その方針に沿った助成制度である「65歳超雇用推進助成金制度」は、国の方針に沿った助成制度です。

人材確保のために高齢者の活用がおすすめ

日本の人口事情を踏まえても、高齢者を活用する方法を考えることをおすすめします。日本では少子高齢化が進み、働き手の確保が年々難しくなっています。

引用:国立社会保障・人口問題研究所

一方で、平均寿命・健康寿命が上がっている中、働き続けたい高齢者は増加しています。

2023年の65歳〜69歳の就業率は53.5%を占めています。

出典:令和6年版 高齢社会白書|内閣府

人材確保のためにも、「65歳超雇用推進助成金制度」を活用して高齢者の雇用を進めることをおすすめします。

65歳超雇用推進助成金の3コースについて紹介

65歳超雇用推進助成金は、3つのコースがあります。

コース名主な目的取り組みの例
1. 65歳超継続雇用促進コース定年制度の見直し定年を65歳以上に引き上げる、定年を廃止する
2. 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース働きやすさや評価の仕組み作り評価・賃金制度、短時間勤務の導入、健康診断
3. 高年齢者無期雇用転換コース非正規から正規(無期)への転換50歳以上の契約社員を無期雇用へ転換する

それぞれのコースの詳細や、支給額について解説します。

1.65歳超継続雇用促進コース

このコースは、65歳以上の高齢者がより長く働ける制度の導入を支援するものです。

主な支給要件は以下の通りです。

  • 労働協約または就業規則を65歳以上の高齢者がより長く働けるように整備する
    (65歳以上への定年引上げ、定年の廃止など)
  • 専門家などに、就業規則の作成・相談を依頼する(依頼料は会社の経費として支出する)
  • 社内の担当者「高年齢者雇用推進者」を決め、高年齢者雇用管理について対応する(健康管理、職域の拡大など)

助成金の支給額は定年年齢の引き上げ幅や、60歳以上の雇用保険被保険者数によって変動します。

引用:厚生労働省

2.高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

このコースは、高年齢者が意欲と能力を発揮して働けるような雇用管理制度の整備を支援するものです。

主な支給要件は以下の通りです。

  • 「高年齢者雇用管理整備措置」を取り入れた計画を作成し、認定を受ける(対象となる措置は下図の6項目)
  • 1人以上の高年齢者に措置を実施する(55歳以上の被保険者)

対象となる措置は以下の6項目です。

助成金は、制度の整備にかかった経費の一部が支給されます。中小企業は経費の60%、それ以外の企業は経費の45%が助成金として支給されます。(金額は50万円が上限)

雇用管理制度の導入に関連した専門家等に対する委託費や、必要な機器・ソフトウェアなどが対象です。

3.高年齢者無期雇用転換コース

有期契約で雇用している高年齢者を無期雇用へ転換した場合に助成金が支給されるコースです。

条件は以下の通りです。

・対象となる従業員:50歳以上、かつ定年未満の有期契約労働者
(有期契約期間が通算5年以内の者。※5年以上の場合は年齢に関わらず無期契約への転換ができるルールがある(無期転換ルール))

・無期雇用労働者に転換させ、その後6か月以上継続雇用する
(※転換日の時点で64歳以上の場合は対象外)

対象労働者1人につき、中小企業は30万円、それ以外は23万円が支給されます。

有期契約から無期転換を行うと、高齢従業員が安心して働けるようになります。

助成金申請前に行うべき社内整備

「65歳超雇用推進助成金」を申請する前に、社内の制度を整えて、高齢者が働きやすい環境づくりを行います。

定年延長・継続雇用制度の方針を固める

まず会社の方針として、高年齢者の従業員をどのように活用するのか方針をを固めます。

「定年を延長する」と決めても、業務内容や活用方法が固まっていないと従業員間で業務を進めづらい状況になってしまいます。

社内説明を行い、高年齢者だけでなく、幅広い年齢層の従業員の理解を得るように働きかけましょう。

就業規則・評価制度の整備や更新

たとえば「65歳超継続雇用促進コース」を申請する場合、労働協約や就業規則を整備し、更新します。この時に定年の規定だけでなく、評価制度や賃金規程の改定も合わせて行うとよいでしょう。

就業規則の変更について、詳しくはこちらで解説しています。

参考:就業規則を変更するには?手続きの流れと注意点を解説

更新後は正式な文書に残し、周知徹底を行います。従業員が理解しやすくなり、後のトラブルを防げます。

賃金条件の整備(在職老齢年金制度との兼ね合い)

高年齢者の賃金条件については、在職老齢年金制度との兼ね合いを考えて慎重に検討しましょう。

在職老齢年金制度とは、賃金+厚生年金額が一定額を超えると、受け取れる年金額が減額・または停止となる制度です。

令和8年度(2026年)は賃金+厚生年金額が基準額65万円を超えると減額されます。

年金支給額や在職老齢年金制度への考え方は個人で異なるかと思いますので、従業員に十分な説明を行い、企業と従業員両方にとって納得感のある制度設計を行いましょう。

在職老齢年金制度について、詳しくはこちらで解説しています。

参考:2026年4月、在職老齢年金の停止基準額が65万円に引き上げでより働きやすく

申請手続きの流れと必要書類

この記事では「65歳超継続雇用促進コース」の「65歳以上への定年の引上げ」申請を行う場合について紹介します。

事前準備(計画書・登録手続き)

「65歳超継続雇用促進コース」の事前準備として、労働協約または就業規則を整備します。

専門家などに就業規則の作成・相談を依頼します。事業主の配偶者や従業員に依頼した場合は経費にはならず、助成金の支給対象にはならないため、注意しましょう。

また、申請予定日から逆算して、就業規則の変更、周知といったスケジュールを組んで、申請手続きを計画的に進めましょう。

申請に必要となる書類

必要書類について、代表的なものを紹介します。

  • 65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)支給申請書
  • 事業内容を示す書類(定款、登記事項証明書の写し、会社概要など)
  • 定年制度および継続雇用制度を確認できる書類(実施と実施の両方とも)
  • 60歳以上の被保険者の出勤状況を確認できる書類(出勤簿やタイムカードの写し)
  • 高年齢者雇用管理に関する措置を行なっていることが確認できる書類(教育訓練、作業環境改善、健康管理などの実施状況がわかる資料)

申請書だけでなく、会社の事業内容がわかる書類や、60歳以上の従業員の出勤簿なども必要となります。

提出先と電子申請の活用

提出先は、申請事業主の本社などの所在地にある「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED(ジード))」の都道府県支部です。

提出は電子申請がおすすめです。「e-Gov(イーガブ)ポータル」から申請できます。

e-Gov(イーガブ)ポータルを利用するアカウントとして、GビズIDを利用できます。

関連記事:【簡単作成】GビズIDの基本とできること、取得方法

65歳超雇用推進助成金を活用して、人材確保や職場作りのきっかけにしていきましょう

65歳超雇用推進助成金を活用することで、高齢者が安心して働き続けられる環境づくりを進めることができます。
人手不足が深刻化する中、経験豊富な高齢者の活躍は企業にとって大きな力となります。助成金も上手に活用しながら、今後の人材確保や職場づくりに備えていきましょう。

65歳超雇用推進助成金について相談するなら、まき社会保険労務士事務所へ

岡山市のまき社会保険労務士事務所では「お客様の悩む時間をゼロにしたい」という思いのもとで、社会保険等届け出・就業規則の作成・給与計算・助成金等の申請を行っています。

「気軽に相談できる身近なパートナー」となるべく、可能な限りサポートさせていただきます。岡山市周辺の方はもちろん、全国オンライン対応しておりますので、ぜひお問い合わせください。


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    この記事の執筆者


    まき社会保険労務士事務所 代表

    社会保険労務士 牧 あや