独身税?子ども・子育て支援金の2026年4月からの負担額や計算、徴収方法

2026年03月03日
子ども・子育て支援金

「2026年、日本で独身税が始まる」との話題がひとり歩きしています。筆者のお客様からも「独身税って本当に始まるんですか?」「独身税が始まるの知らないです」というお声が多く聞かれます。

少子化対策の財源を確保するために創設される「子ども・子育て支援金」の制度が、独身者を含むすべての人が負担の対象になっていることもあり、そのような言葉が飛び交っています。

企業にも負担が増えるなど影響がある新しい支援金制度について、正しく理解し、従業員にも説明できるようにしておきましょう。

 【この記事のポイント】

  • 2026年4月から少子化・人口減少対策のための「子ども・子育て支援金」の徴収が始まる
  • 社会保険料(医療保険料)に上乗せして徴収されるため、高齢者や独身者、企業を含む全世代・全ての経済主体から幅広く徴収される
  • 2026年度の平均徴収額は被用者保険(協会けんぽなど)は1人あたり月額550円、国民健康保険は一世帯あたり月額300円、後期高齢者医療制度加入者は1人あたり月額200円程度

※ この記事では「子ども・子育て支援金」のことを「支援金」と記載することがあります。

“独身税”こと「子ども・子育て支援金」とは

「子ども・子育て支援金」とは、深刻な少子化・人口減少対策として2026年4月から導入される制度です。

支援金は社会保険料(医療保険料)に上乗せして徴収されます。そのため、高齢者や独身者、企業を含む全世代・全ての経済主体から幅広く拠出されます。

創設の目的と使途

2024年国内の出生数は68万6061人で減少の一途を辿っています。

「子ども・子育て支援金」制度は、こうした少子化の進行で、将来の働き手や消費者が減ることが予想されることから「社会全体で子育て世帯・若年層を支援する」ことで、少子化のトレンドを反転させることを目的につくられました。

政府が定めた少子化対策「こども未来戦略」にかかる予算3.6兆円のうち、約1兆円を今回の支援金で確保します。支援金は使い道が決められている「特定財源」です。

具体的には以下のような目的で使われます。

  • 児童手当の拡充
  • 妊婦のための支援給付(出産・子育て応援交付金)
  • 乳児等のための支援給付(こども誰でも通園制度)
  • 出生後休業支援給付(育休給付率の手取り10割相当の実現)
  • 育児時短就業給付(育児期の時短勤務の支援)
  • 国民年金第1号被保険者(自営業・フリーランスなど)の育児期間の保険料の免除

関連記事:2025年4月から「育休の手取り10割」が実現。出生後休業支援給付金とは?

関連記事:2025年4月に始まった育児時短就業給付金って何?わかりやすく解説

負担者、徴収方法

2026年4月から子ども・子育て支援金は原則、すべての世代・すべての医療保険の加入者を対象に、医療保険料に上乗せして徴収されます。

つまり「国民皆保険」の日本では、会社員(被用者保険・協会けんぽ)、公務員、自営業者(国民健康保険)、高齢者(後期高齢者医療制度加入者)など、保険料を納めるすべての国民が負担します。

また事業主は支援金を従業員から天引き・納付する義務が発生します。

※ 「国民が負担」とされていますが、支援金は社会保険料に上乗せされて徴収されるため、事業主もその半分を負担します。

企業はすでに負担している「子ども・子育て拠出金」(後述)とは別に負担することになります。

保険制度の種類徴収方法
被用者保険
(協会けんぽ・健保組合・共済組合)
事業者が徴収(天引き)

※ 多くの企業は社会保険料を翌月に徴収するため(4月分を5月給与で控除)、「2026年5月支給の給与」から反映されることが一般的
国民健康保険国民健康保険に上乗せされて徴収

※ 2026年4月分から徴収されるが、具体的な開始時期は市町村で異なる
後期高齢者医療制度後期高齢者医療制度に上乗せされて徴収

※ 2026年4月分から徴収されるが、具体的な開始時期は広域連合で異なる

支援金額はいくら?年収別の負担額目安

支援金制度は2026年度から2028年度にかけて、段階的に構築していくとされており、金額も段階的に上がっていきます

支援金額は加入する医療保険制度や所得、世帯の状況によって異なります。こども家庭庁では2026年度(令和8年度)分を以下のように試算しています。

【被用者保険(協会けんぽ・健保組合・共済組合)】

被保険者1人あたりの平均支援金額(月額)= 約550円

年収被保険者一人当たり
月額
200万円192円
400万円384円
600万円575円
800万円767円
1,000万円959円

※ 上記の月額は本人負担分です。原則、事業主も同額を負担します。

【市町村国民健康保険】

一世帯あたりの平均支援金額(月額)= 約300円

年収世帯(夫婦と子のいる世帯)当たり
月額
80万円50円
100万円50円
150万円250円
200万円400円
250万円550円
300万円650円

【後期高齢者医療制度】

被保険者1人あたりの平均支援金額(月額)= 約200円

年収被保険者一人当たり
月額
80万円50円
100万円50円
125万円50円
150万円50円
175万円100円
200万円200円

出典:子ども・子育て支援金制度について|こども家庭庁

上記の目安で新たに子ども・子育て支援金が徴収されることになります。

ただし支援金は社会保険の歳出改革などによって軽減される負担の範囲内で導入されることが法律で定められています。要は「社会保険料の負担を改革や賃上げで軽くします。支援金はその軽くした分しか徴収しません」というルールになっているので、実質的には新たに負担が増えることはない、と説明されています。

支援金額の計算方法

支援金額の計算方法は医療保険制度の種類によって異なります。

保険制度の種類計算式
被用者保険
(協会けんぽ・健保組合・共済組合)
月額支援金額 = 標準報酬月額 × 支援金率

※ 支援金率は年度ごとに国が一律で示す。2026年度は0.23%

出典:令和8年健康保険・厚生年金保険料|全国健康保険協会

上記金額の半分を企業が負担する
国民健康保険月額支援金額は各市町村が条例に基づき、世帯・個人の所得に応じて決定

支援金率は自治体によって異なる
後期高齢者医療制度月額支援金額は都道府県後期高齢者医療広域連合が定める条例に基づき、個人の所得等に応じて決定

※ 支援金率は広域連合ごとに異なる

被用者保険の「標準報酬月額」とは、被保険者(従業員)の毎月の給与や各種手当の合計を一定の区分に分けてまとめた金額です。標準報酬月額に含むもの、含まないものは以下の記事でまとめています。

関連記事:26年10月、106万円の壁撤廃へ。130万円の壁もわかりやすく解説

関連記事:【最大75万円】厚生年金保険の標準報酬月額の上限が引き上げへ。影響と対策

「子ども・子育て支援金」と「子ども・子育て拠出金」の違い

「子ども・子育て拠出金」は1971年度からある制度で、児童手当や子育て支援を目的に企業が費用の一部を負担する拠出金です。当時は「児童手当拠出金」として創設され、2015年度に現在の名前になりました。

「拠出金」は厚生年金に加入している従業員を雇用する事業主が「全額負担」するもので、従業員個人の負担はありません。

今回の「支援金」とは全く別の制度で、「拠出金」を支払っていた企業は、今後はさらに「支援金」も負担することになります。

子ども・子育て支援金子ども・子育て拠出金
創設年度2026年1971年
負担者すべての医療保険の加入者
労使折半、個人+企業
厚生年金加入者の雇用主
全額事業主負担
徴収方法社会保険料に上乗せ、給与・賞与から天引きして納付事業主負担分の拠出金を納付
使途・児童手当の拡充
・出産・育児にかかわる各種手当 など
・児童手当の原資
・保育所整備や育児支援 など

デマ?”独身税が日本で導入”と言われる理由

見てきたように子ども・子育て支援金は、子どもを持つ家庭だけでなく、独身者を含むすべての社会保険加入者が負担します。

つまり、児童手当などの直接的な恩恵を受けられない独身者や、子どもがいない夫婦も負担者に含まれるため、実質「独身税」と呼ばれることが増えています。

ただし、例えば、かつてブルガリアなどの共産圏で採用されていた、結婚していない成人に収入の一定割合を課税したような「独身税」とは、そもそもの趣旨が異なります(これらの施策も人口増加を目的に行われることが多かったようですが、効果は限定的と評価され、廃止されています)。

独身者、高齢者、子育てが終わった世代……支援金は不公平という声

確かに社会全体で子育てを支援する仕組みである以上、負担が増える当事者としては、そのように感じてしまうことは無理もないかもしれません。

ただ「子どもを産み育てることは社会的・経済的に大きな投資」だということは事実です。

子ども・子育て支援金による少子化対策は、未来の働き手(子どもたち)を育てることであり、今の社会で暮らす全ての人の生活を守ることにつながっています

また高齢者や子育てを終えた世代も、かつては子育てをしており、今は社会の安定や医療、介護などの恩恵を受ける側に回っています。

「世代や立場を超えて負担を分かち合い、全員が恩恵を受ける未来をつくる」という制度の考え方を理解し、自分の言葉で、従業員に対しても丁寧に説明できるようにまとめておくと良いでしょう。

子ども・子育て支援金制度による企業への影響と対応

子ども・子育て支援金制度が始まることで、企業や担当者には以下のような影響があると予想されます。

  • 社会保険料負担の増加と経営の圧迫
  • 事務負担の増加
  • 給与計算・システム対応の複雑化
    保険料率の変更に応じた給与計算ソフトやシステムのアップデートが必要
  • 従業員への説明責任の増大
    「恩恵がない」「払いたくない」という従業員に対して制度の趣旨と重要性を説明する負担が増える

給与計算システムのアップデートなどの対応はもちろんのこと、新たに増える法人負担の試算を行い、経営への影響を早めに把握しておくことも重要です。

また先述のとおり従業員にわかりやすく説明するためのQ&Aや資料を用意したり、説明会の実施、負担が増える従業員へ福利厚生を充実させるなど、早めの対応を検討しましょう。

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岡山市のまき社会保険労務士事務所では「お客様の悩む時間をゼロにしたい」という思いのもとで、社会保険等届け出・就業規則の作成・給与計算・助成金等の申請を行っています。

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    参考資料

    この記事の執筆者
    まき社会保険労務士事務所 代表
    社会保険労務士 牧 あや