産休・育休中の社会保険料の免除をわかりやすく解説|いつからいつまで?
産休・育休中は、従業員・会社の双方で社会保険料の支払いが免除されます。
しかし実際には、従業員から「社会保険料が引かれているのでは?」といった問い合わせを受けることも少なくありません。
社会保険料は会社・従業員の双方にとって大きな負担となるため、公的な免除制度を確実に活用できるよう、正しい知識を身につけておくことが重要です。
【この記事でわかること】
- 産休・育休中の社会保険料の免除制度の概要
- 具体的にいつからいつの分まで免除されるのか
- 会社がすべき社会保険料免除の申請手続き
目次
産休・育休中の社会保険の免除制度(基本)
産休(産前産後休業)は母親が出産の前後に取得できる休業です(産前6週間、産後8週間が基本)。また育休(育児休業)は子どもが1歳(条件によって最長2歳)になるまで取得できる休業です。
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産休・育休を取得する労働者は、「健康保険」と「厚生年金保険」の保険料が会社負担・従業員負担とも全額免除されます。
(健康保険法第159条、第159条の3 / 厚生年金保険法第81条の2)
免除期間中も社会保険の被保険者扱いが続き、在職中とほぼ同じ保障を受けられます(健康保険証が利用できる、厚生年金は払ったことになり、将来受け取る年金は減らない)。
「出産・育児で働けない期間の経済的な負担を軽くして、本人や家族が安心して子育てに専念できるようにする」という考え方が背景にあります。
【大前提】申請手続きが必要|「免除されてない」「社会保険料が引かれている」との声が散見
ただし、産休や育休中は社会保険料が「自動的に免除される」わけではありません。事業主(会社)が決められた申請手続きを行う必要があります(手続きの方法は後述)。
実際「産休・育休中も社会保険料が免除されていない、引かれている」という労働者側の声はよく聞かれます。
一方でこれらの声は免除のタイミングや仕組みへの理解不足による誤解も多いです。担当者は正しい知識を身につけて、労働者に伝えることが求められます。
産休中の社会保険料の免除期間と条件(いつからいつまで?)
産休による社会保険料の免除期間は以下のとおり定められています。
- 開始:産休の開始月分
- 終了:産休終了日の翌日の属する月の前月分
(産休終了日が月の末日だった場合は、終了月分)

月の途中から産休に入ったときはその月から、月の途中(毎月最終日を除く)で産休を終えたときはその前月分までが免除対象です。日割りはありません。上記の例の場合、7、8、9月の社会保険が免除されます。
一般的に、社会保険料は翌月に徴収されるので、例えば7、8、9月分が免除された場合は、8、9、10月の明細に反映されます。
育休中の社会保険料の免除期間と条件(いつからいつまで?)
育休による社会保険の免除期間は以下のとおり定められています。基本は産休と同じです。
- 開始:育休の開始月分
- 終了:育休終了日の翌日の属する月の前月分
(育休終了日が月の末日だった場合は、終了月分)
育休は産休よりも短期で取られることが多いです。そのため上記の原則ルールに則ると、同じ月内で育休を開始・終了したとき、社会保険料の免除を受けられませんでした。
そのため2022年10月の法改正により、育休開始と終了が同じ月の場合でも、育休を14日以上取得すれば、その月の社会保険料は免除されるようになりました。
この「14日」は連続でなくてもよく、同じ月内で累積して14日以上取得すればOKです。また土日祝日など「会社の休日」も含めて計算します。
賞与(ボーナス)も社会保険料免除の対象
産休・育休中に支払われた賞与も社会保険免除の対象です。
- 産休・育休ともに支給された月の月末を含む1ヶ月以上の連続した産休や育休であること
(1ヶ月を超えるかは暦日で判断。土日等の休日も含む) - 税金(所得税・住民税)は課税される
上記の例のように、休業開始前に支払われた賞与であっても、条件を満たした場合は社会保険料が免除される点には注意が必要です。
産休・育休における社会保険料の免除の申請手続き
産休・育休中に社会保険料の免除を受けるためには事業主(会社)が所定の手続きを行う必要があります。
産休中の申請手続き・必要書類・提出先
- 従業員から産休取得の申し出を受ける
- 「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書」の作成
- 会社の所在地を管轄する年金事務所、事務センターに提出
(電子申請も可能)
(期限:産休終了日から1ヶ月以内。産休の取得が決まったら、できるだけ早めに出す) - 出産日が予定日と異なる場合、予定より早く産休を終えたときは、「産前産後休業取得者変更(終了)届」を追加で提出する(様式は「2」と同じもの)
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育休中の申請手続き・必要書類・提出先
- 従業員から育休取得の申し出を受ける
- 「健康保険・厚生年金保険 育児休業取得者申出書」の作成
- 会社の所在地を管轄する年金事務所、事務センターに提出
(電子申請も可能)
(期限:育休終了日から1ヶ月以内。育休の取得が決まったら、できるだけ早めに出す) - 予定より早く復職した場合、育休期間を延長する場合は、「育児休業取得者変更(終了)届」の追加提出が必要(様式は「2」と同じもの)
育児休業終了時報酬月額変更(育児休業終了時改定)の手続き
育休から復帰後は、時短勤務などで給与が減るケースが多く、社会保険料は「休業前」の高い給与水準で計算され続けているため、手取りが少なくなりがちです。そこで「育児休業終了時報酬月額変更」によって、実際の給与に合わせて標準報酬月額を修正し、社会保険料の負担を減らせます。
その他、産休・育休中の社会保険で気になること
以下、産休や育休における社会保険料の免除に関して、よくある質問をまとめます。
月末日が休日(土日祝)の場合はどうなる?
産休・育休中の当月分の社会保険の免除を受けるには、月末日に休業を取ることが条件です(休業終了日の翌日の属する月の前月分が免除されるため)。
月末日が休日の場合、休日に休業を取ることはできないため、最も近い労働日に休業を取る必要があります。
(例えば29日(金)、30日(土)、31日(日)のカレンダーで、土日が休日の会社の場合、29日(金)に休業を取る必要があります。)
役員が産休・育休を取る場合も社会保険料の免除を受けられる?
結論、産休は社会保険料の免除を受けられますが、育休は原則受けられません。
役員は労働基準法が適用されないため、「労働基準法の産休」の適用はありませんが、「健康保険法・厚生年金保険法が独自に定める産休」を適用できるため、社会保険料が免除されます。
一方、健康保険法・厚生年金保険法の育児休業は、育児介護休業法にもとづくため、育児介護休業法が適用外となる役員は社会保険料の免除を受けられません。
ただし、兼務役員など、労働者性が高い場合は、免除される可能性もあります。
会社独自の育休でも社会保険料の免除を受けられる?
受けられません。社会保険料の免除は育児介護休業法にもとづく育休(法定育休)に対して適用されます。
産後パパ育休でも社会保険料の免除を受けられる?
通常の育休と同様に条件を満たせば、免除を受けられます。
産休・育休中は労働保険(雇用保険、労災保険)の支払い義務はある?
労働保険(雇用保険・労災保険)は実際に支払われた賃金を元に計算されるので、無給の産休・育休期間は発生しません。
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産休・育休の制度について相談するなら、まき社会保険労務士事務所へ
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参考
まき社会保険労務士事務所 代表
社会保険労務士 牧 あや
まき社会保険労務士事務所




